SIerからWeb業界へ転職したいITエンジニアが知っておくべきポイント

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日本における娯楽の王様は、何だかんだと言っても「プロ野球」であることに異論を挟む人はいないでしょう。

人々の趣味が多様化し、巨人軍の試合が地上波から姿を消してもなお、プロ野球が依然根強い人気を博していることは球場に直接足を運ぶ人が増え続けていることからも見て取ることができます。

球児のみならず、多くの人たちが憧れるプロ野球界に参入できるのは全国400万以上ある企業の中のたった12社。

歴史をひもとけば、映画会社や鉄道会社、新聞社など当時栄華を誇った名門企業が球団経営に携わってきました。

 

そして現在、3社のIT系企業(楽天、ソフトバンク、DeNA)がその中に名を連ねています。このことからも、プロ球団の親会社は「時代を映す鏡」と言っても過言ではありません。

この3球団は、参入当初からこれまでになかった試みにより新たなファンの開拓に成功しています。そのしがらみやしきたりに囚われない新しい取り組みの結果が観客動員数に着実に表れています。その効果は他球団にも波及し、球界全体の人気向上に繋がっています。

この快進撃を支えているのが、IT企業に多く見られる「何か新しい、驚くようなことをやってくれそう」な進取の気性ではないでしょうか。楽天、ソフトバンク、DeNAの3社が、このスピリットを持ち続けている限り、勢いは長く続いていくことでしょう。

翻って、今度はIT業界の内部に目を向けてみましょう。

IT業界にも数多くの職種がありますが、開発案件を仕様書どおりにきっちりと構築するSIerと顧客に価値を提供するクリエイティビティーが求められるWeb業界では、まるで別の星に来たかと思えるほどの異次元空間が広がっています。

未来を思わせるお洒落なオフィスに、ラフな格好、スターバックスを注いだタンブラーを片手に、ちょっとした雑談が新商品を生み出す会議になるような、いわゆる「IT企業っぽい感じ」は、もっぱらWeb業界での話。

進取の気性にあふれる若いITエンジニアたちが集まるのもうなずけます。そんな「ワクワク」、「ドキドキ」を求めてSIerからWeb業界への転職を目指すITエンジニアが最近増えているのだそうです。

SIの抱える問題点「多重下請け構造」

技術立国を標榜しながらもIT関連の事業に関して言えば欧米諸国の後塵を拝してしまう原因、また日本にアップルやグーグルが生まれない原因は、建設業界と並び称される「多重下請け構造」にあると言われています。

大型のシステム開発案件は、直請けの大手SIが受注し、下請け、孫請け、四次請け…と中小SIに仕事が落ちてきます。

多重下請構造という名の難攻不落のピラミッドの底辺に位置する企業は、納期や品質など理不尽な要求を突き付けられるばかりでなく、報酬は上流の企業が取った幾ばくかの残りが回ってくるのみという過酷な環境での労働を強いられています。

昨年、発生したマンションの「杭打ちデータ改ざん事件」は、「住まいの安全」を揺るがす衝撃的な事件でしたが、データ改ざんを行ったのは、多重下請構造の底辺グループにあたる企業で、納期の要求などに応えるべく日常的に不正が行われたことが明らかになりました。

無論、データ改ざんを行った企業に非があることに議論の余地はありませんが、下請け企業が直請け企業からの圧力に常時晒されていたことは明白で、それが不正を働かせるいち要因となったことは間違いありません。

しかし、この事件では直請け企業は事業全体としての非は認めたものの、杭打ちデータ改ざんに関しては、下請け企業の責任であることを頑なに主張し続けました。

これは、SIerでも同じこと。受注元からの信頼や儲けなどオイシイところはピラミッドの頂点に君臨する直請け企業が独占し、底辺に行けば行くほど報酬は目減りし、要求はより理不尽なものとなるにも拘らず、もし何か起こった場合は責任を押し付けられる…。これが、多重下請け構造が抱える最大の問題なのです。

開発現場における非効率な「伝言ゲーム」

システム開発の案件は、顧客あってこそ生まれるもの。それゆえに、顧客の要求が全てに優先することは言うまでもありません。仕様を決める段階で、顧客側にシステムに関する知見がなければ決定までに膨大な時間と労力を必要としますし、

いざプロジェクトが動き出した時点で初期設計での不備や、思い付きによる仕様変更が発生すれば、多重下請け構造のSI業界では、お約束の「伝言ゲーム」がスタートし、ゴールに辿り着くころには伝言の内容が全く異なったものになってしまう笑えない事態になることも度々です。

顧客に振り回されることに関しては、こうした案件ならばある程度は想定内ですし、直請け企業の仕様決定男系でのSIerの能力いかんである程度は防ぐことはできるでしょう。しかし、システム開発において多少の仕様変更やトラブルはつきもの。

大切なのは、その「いざと言うとき」の対応なのです。SI業界の非効率な構造が、迅速かつ正確さを求められる有事の対応を阻む大きな障害となっているのです。

 SIerからWeb業界への転職の決断

SIerは、多くの問題点が指摘され将来性に関しても疑問符が付く声が少なからず上がってはいますが、システム開発において必要不可欠な存在であることは間違いありません。

長年かけて完成させたシステムが、自分たちの手を離れても安定稼働しサービスが滞りなく行われているさまを目の当たりにして嬉しくないSIerなど皆無でしょう。納期に追われることはありますが、基本的に長いスパンでじっくりとシステムを作りこめるのはSIerの仕事の最大の特長です。

ただ、直請け企業でなければ決して「割のいい」環境とは言えない中で、仕様書通りの開発を求められるSIerは、今どきのIT業界を感じさせるような洗練された感やクリエイティビティーとは遠い世界いることは確かです。

SIerの中でWeb業界への転職を目指す人が増えているのは、現職では求められなかったクリエイティビティーやスピード感、価値の発信など、これまで発揮できなかった資質を活かしたいことへの渇望が行動となって表れているものと思われます。

しかしながら、SIerとして培ったものはWeb業界でも十分に活かすことはできますが、仕事自体は似て非なるもの。SIerとしての自分をいったん封印して飛び込むくらいの気概が求められます。

最後に確認して欲しいポイント

SIerにとっては、クリエイティブでスピーディーに仕事をこなすWeb業界はさぞかし華やかに見えることでしょう。

しかし、「隣の芝生は青い」ということわざがあるように、Web業界も、華やかさの陰には、トレンドの浮き沈みが激しい上に、仕事が即多くの人の厳しい目に晒される中を生き抜く胆力を要求される厳しい世界であることには変わりありません。

しかし、ITの世界に飛び込んだ理由が幼い頃に手にしたゲーム機器での原体験にあるITエンジニアがWeb業界のようなクリエイティブな世界にあこがれを抱くことはむしろ当然の成り行きで、

その頃に味わったワクワク・ドキドキを今度は自分の手で多くの人たちに伝えたいという思いが強ければチャンレンジする価値は十分にあるでしょう。

ただ、SIerからWeb業界への転身は、同じ業界でも全く別分野の仕事に転職するのと同じくらいの覚悟が必要であることは肝に銘じておいてください。

まずは、「隣の芝生は青い」ことを十分差し引いたうえで、Web業界がどのような仕事で、自分に向いているのか、やっていけるのかなど、しっかりと情報収集を行いましょう。転身に向けて本腰を上げるのはそれからでも遅くはないはずです。

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