システム開発案件を確実に成功させる、リーダーに必要な4つの心得

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システム開発

2015年11月13日の記事を再構成(文言の追加)をして作成した最新記事です。

システム開発の現場では、様々なプロジェクトが進行しており、順風満帆な案件もあれば、もはやプロジェクトとしての体をなしていない案件など、悲喜交々としたドラマが日々展開されています。

同じ規模、近しい要件にもかかわらず、成功と失敗が繰り返されるのは、プロジェクトが多数の人間の手によって成り立っているものだから、すなわち「生き物」だからであると考えられます。

中でも、プロジェクトリーダーの資質が、その成否を分けると言っても過言ではありません。優れたリーダーは、いかなる環境においても常に勝ち続けています。

そこには、「マネジメント」という言葉だけでは到底足りないような、知恵と人心掌握、そして職務遂行のテクニックがあります。

近年、企業の不祥事や倒産が相次、経営者が会見する光景を目にすることがありますが、責任を部下のせいにしたり、他人事のように話す姿を見るにつけ「この会社を潰したのはこの人だな」と感じざるを得ません。

一方、この不況下でも勝ち続けている企業の経営者は目が生きいきとしていて言葉に力があり、自然と引き寄せられていくような力を感じます。

つまり組織が生きるか死ぬかを決めるのは「長の一念」、すなわちリーダーの資質いかんにかかっているのです。今回は、こうした「成功するリーダーの心得」をシステム開発の分野に当てはめて考えてみたいと思います。

「八甲田山死の彷徨」より~リーダーの決断が分けた生死

日露戦争直前の1902年、ロシアとの戦争に備えた寒冷地における訓練として行われた青森県八甲田山における雪中行軍は、折からの大寒波に見舞われたこともあり山岳史上最悪と言われる大事故に見舞われました。この事件を題材として描かれたのが「八甲田山死の彷徨(新田次郎著)」です。

作品の内容をざっくりと説明すると、寒冷地での戦いを想定した雪中行軍で、徳島大尉が率いた弘前三十一連隊は観測史上最悪の大寒波の中、見事に八甲田山縦走を成功させたのに対し、神田大尉が率いた青森第五連隊は荒れ狂う吹雪の中ほぼ全滅してしまうという対照的な結末が描かれています。

身動きが取れなくなり、極限状態に陥った人間が突然発狂したり、自ら崖に向かって飛び込む描写は、雪中行軍がいかに過酷であったかを物語っています。

今から100年以上も前の事件を下敷きにしたこの作品が、現代でも広く読まれている理由は、全員生還とほぼ全滅という明暗を分けたのが、「リーダーの決断」であったからです。

軍隊は、典型的な上意下達の組織であり、日清戦争を制したことで、その規模も発言力も急速に拡大していたことは想像に難くありません。その中で実施された、「雪中行軍」というひとつのプロジェクト。軍からすれば訓練の一環だとしても、雪中行軍を行う連隊からすればそれこそ命を懸けです。

しかし、その命は、連隊長に委ねるほかはないのです。連隊長は連隊長で、「偉い人たち」からの政治から逃れることは不可能で、それぞれの立場の人たちが様々な事情を抱えて「仕事」をしようとしていたのです。

この構図、ふと思い返せば、プロジェクトの現場そのものではないでしょうか?雪中行軍のように部下を死なせはしないまでも、仕事上での生殺与奪を握っているのは、リーダーと言っても言い過ぎではないでしょう。

「八甲田山死の彷徨」は、企業研修の際にリーダーシップやリスクマネジメントなどに関する事例として活用されています。リーダーを目指す人にはぜひおススメの一冊です。

「デスマーチ」を生み出すのはマネジメントの責任

IT企業の開発現場で、仕事が終わらない、帰れない状態を指す「デスマーチ」が至るところで発生していることは有名な話です。しかし、デスマーチの現場に従事する人から話を聞くと、多くの人が「デスマーチの大部分は防げたもの」と口を揃えます。

デスマーチの多くは、「やっぱりこうだった」「これこうなったから」「このほうがいいだろう」の鶴の一言で突然やってくるものなのだそうです。もちろん、これまでの苦労は台無し、もしくは限りなくリセットに近い状態に戻され、だからと言って納期を伸ばしてくれるわけもなく…。

「早く言ってくれよ」と言ったところで時計の針は戻ることなどできるわけもなく…。こうしてデスマーチは、オフィスの照明さえも休息の時間を奪っていくのです。

一見すると大変で毎日が、お祭り騒ぎのプロジェクトにも映ります。しかし、多くのムリ、ムダを生み出しているこの惨状は「PMOが機能していない」のが大きな原因です。PMOはプロジェクト・マネジメント・オフィスの略称で、全体管理チームとも呼ばれ、ある程度の規模のプロジェクトになると必ず設置されます。

彼らのミッションは、プロジェクト全体の進捗状況を管理し、課題やリスクをいち早く把握、問題解決に導くことです。すなわち彼らはプロジェクトにおける交通整理を行い、障害があれば飛んで行って解決する、時には横断するチームの懸け橋になることも求められる重要な役割を担っています。

プロジェクト全体を俯瞰的に見渡し、課題解決に当たるという点においてプロジェクトリーダーに近く、その影響を受ける立場です。このPMOとプロジェクトメンバーがそれぞれの役割を理解し、信頼関係を築いていないとPMOが機能しないどころか、情報連携が不十分であるがゆえに起こるムダな仕事が、デスマーチを生み出していくのです。

PMOが機能するためにプロジェクトリーダーが果たすべき役割は、PMOが行う役割と問題が起こった場合の解決方法、各チームの業務分掌がきちんと行われ、不明確を極力排除した状態でプロジェクトをスタートさせることです。

「デスマーチ」を生み出すのは他ならぬマネジメントの責任です。プロジェクトメンバーから「え、聞いてないよ」という言葉が聞こえたら、それはプロジェクト内で齟齬があり、信頼関係が醸成されていない証左です。十分に注意を払うようにしてください。

出来るリーダー4つの心得

プロジェクトメンバーをひとつにまとめ、クライアントとの折衝や社内調整までも一手に担うリーダーに求められる能力は、一にも二にもヒューマンスキルに他なりません。「この人ならば安心」「この人についていこう」「この人のためにやってやろう」…などといった異なるタイプのリーダーもよくよく観察すれば、その多くが以下の4つの項目を愚直に実践しています。

心得1.リーダー自身が誰よりもプロジェクトに精通していること

この業界でもプロジェクトリーダーとは名ばかりで、周りに丸投げという人も少なくないと聞きますがこの場合、参謀がとても優秀でないとプロジェクトは成功しませんし、そもそも参謀を探している間にプロジェクトが終わってしまいます。

プロジェクトを成功させるリーダーは自身が誰よりもプロジェクトに精通していることに尽きます。システム開発案件で言えば、要件やリリース日、予算総工数といった案件に関わること全てです。プロジェクトが走り出せばリーダーの判断が全てです。

ですので、上司や先輩、顧客、外部の識者に関わらずプロジェクトの背景も含めあらゆる情報を収集し、プロジェクト成功へのイメージが揺るぎないものとなるまで昇華していかなければなりません。

心得2.好みや感情に流されず、適材適所の人選と人員配置ができること

プロジェクトの全体像が明確になってきたら次はメンバーの人選です。メンバーがあらかじめ確定している場合はこの限りではありませんが、人選がリーダーの裁量に委ねられていたならば、極力好みや感情を排した人選を行うべきです。

プロジェクトメンバーを選ぶ場合、気心の知れた人を集めれば仕事はやりやすいですし、思い通りに事を運ぶことができるでしょう。

しかし、それが行き過ぎれば近しい関係ゆえに、甘えが出る恐れは否定できませんし、近しい人たちとは阿吽の呼吸で意思疎通ができるがゆえに、他のメンバーとのコミュニケーションが不足してしまい、かえってトラブル発生のリスクを高めてしまいます。

こういった事態を避けるためにも、まずはスキル重視の人選を行いましょう。人選の際は、人を送る部署との利害関係も絡んできますので、思うような人員が集まらない恐れもありますが、「未経験」「スキル不足」の人員がひとつのセクションに偏らないように注意しましょう。

メンバーが揃ったら次は、一人ひとり面談の機会を設けてプロジェクトが目指していることと、メンバー個々へ期待されることを伝え、同時にメンバーの適性を把握します。その上で、キックオフミーティングを実施しプロジェクト全体の意思統一を図り、公的、私的を問わず定期的に飲み会や食事会などの場を設けコミュニケーションをとる機会を作ります。

もともと「プロジェクト」という共通言語があるため、スキル重視の人選と人員配置と適度なコミュニケーションの機会を設けることによりプロジェクトは自ずと機能を始めるようになります。

心得3.できないことは、できる人に任せ、自身の負担を軽減すること

プロジェクトに最も精通しているのも、この案件を遂行するために何が必要かを把握しているのも、もちろんプロジェクトリーダーです。しかし、とても一人の力でできない案件だからこそプロジェクトがあり、チームが結成されたのですから、適材適所に人員を配置して仕事を任せることもリーダーの大きな役割です。

中には「自分がやった方が早いから」と様々な仕事を抱えてパンクしてしまう人もいるようですが、それではプロジェクトは回りませんし、メンバーの成長の芽を摘んでしまうことにもなりかねません。仕事を任せた以上、自身が満足するレベルに達するまで我慢する忍耐力もリーダーの重要な資質です。

また、プロジェクトでは、リーダーがその方面で知識が浅かったり、苦手分野の業務も確実にありますが、リーダーが勉強して知識を深めたり、苦手を克服するなど、そんな悠長なことは言ってられません。「できないことは、できる人に任せる」こともリーダーの大きな仕事です。

そのとき、「責任は私が取るから、安心して仕事をしてください」と任された人が安心して伸びのびと仕事ができる環境を整えてあげればよいのです。余談ですが、米国の石油王カーネギーの墓標には、

    自分より賢き者を近づける術知りたる者、ここに眠る

と記されているそうです。

優れたリーダーは、人に仕事を任せるセンスにも優れている人だという証拠だと思います。また、「人に任せる」ことは、自身の負担を軽減することにもつながります。プロジェクトには次々と課題や問題が発生しその都度、リーダーにはフレキシブルかつ適切な対応が求められます。

そのためにも心身ともにある程度、余裕のある状態でいることこそが対応力を持たせ、メンバーにも安心感を与えることができるのです。

心得4.進捗状況のチェックを適切に行いスケジュールの修正ができること

プロジェクトなるもの、メンバーや顧客の思惑など様々な要因が複雑に絡むゆえ、当然のことながら思い通りに進むことは皆無と言っていいでしょう。しかし、スケジュールが遅延すればその分経費が膨らみ、プロジェクトの成否にも大きな影響を及ぼしてしまいます。

従って、進捗状況のチェックを適切に行い、あらかじめ決まっているゴールから逆算して、どれだけの工数や人員が必要なのかを算出し、いつまでにどこまで進めておけばいいのかを定期的にアップデートし、プロジェクト内できちんと共有しておくことが重要です。

ただ「朝令暮改」な感じを与えてしまってはプロジェクト内に不信感が蔓延しますので、スケジュールの修正、通知のタイミングには気を使いましょう。

最後に確認して欲しいポイント

今回は「成功するリーダーの心得」をシステム開発に焦点を当てて考えてみました。こうすると、成功するリーダーの持つ資質に一定の共通点が見出されることが分かります。

また、生まれながらに優れたリーダーシップを持つ人は稀有な存在であり、多くのリーダーは数々の経験で蓄積した成功と失敗から自身のリーダー像を確立しています。

すなわち、優れたリーダーでもその行動の大部分はテクニックを駆使することによって培われてきたものであると言えるのです。

もし、自分がプロジェクトリーダーになり、「人を動かす」立場になった場合、これまで述べてきた心得が脳裏をよぎり、その成功にいささかでもお役にたてれば幸いです。

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