未経験からITエンジニアとしてデビューするには何歳までが限界なのか?

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人生の三大イベントは、「進学」「就職」「結婚」と言われます。「進学」は人生で最も多感な時期を過ごす環境を決めるという意味で、「就職」は生活の糧を得るための仕事を決めるという意味で、「結婚」は人生の伴侶を得るという意味でそれぞれその後の人生を左右しかねない重要なものです。

しかし、必ずしも納得のいく選択ができなかったり、時と共に考え方が変わっていくこともあり、三大イベントと言ってもそれぞれ「一度きり」というわけではないのです。

入った会社や就いた仕事が自分に合っていて人間関係も良好ならそれは、「天職」に出会った稀に見る幸運に恵まれた人に違いありません。多くの人にとって人生の中で40年余りに渡る社会人生活は、今にも辞表を投げつけたい衝動を抑えながらの毎日であるはずです。

でも、大部分の人は、その衝動をグッと飲み込んで家族のため、自身の生活を守るために懸命に働くのです。なぜなら、日本において職を失うことは、「社会人としての死」に等しく、社会人生命を賭してまでの転職挑戦はあまりにリスクが高いと考えられているからです。

しかし、最近は不況と好況を繰り返す不安定な景気動向から、会社が社員の人生を背負う代わりに社員は会社に忠誠を尽くす現代版「御恩と奉公」の関係は衰退し、「会社と自分は運命共同体」的な風潮は次第に薄まっていくにつれ、「当たり前」とはいかないまでも転職もそう珍しくはなくなってきました。

こうして転職市場は、憲法第22条が保障する「職業選択の自由」よりも、「会社が社員を抱えきれなくなった」という笑えない事情から徐々に拡大していったという見方もできるでしょう。

いずれにしても、「このままでいいのか?」と悶々と仕事をしていた人にとっては一筋の光明と言えるのかも知れません。

誰でも「あのとき、こちらを選択していたら別の生き方をしていたかも知れない」という思いに駆られたことがあるのではないでしょうか。ほとんどの人は、「後悔先に立たず」と単なる妄想として心から排除しようとするでしょう。

しかし、どうしてもこの感情を抑えられず、「人生をやり直せたら」と思うこともあるでしょう。

一昔前ならば、夢の再燃などほぼ100パーセントあり得ない話でした。しかし、転職が珍しいことではなくなった昨今、もちろん困難であることには変わりはありませんが、「人生やり直し」を叶えることは決して夢ではなくなってきているのです。

2013年に公開されたコメディ映画「俺はまだ本気出してないだけ」がちょっとしたヒット作品になりましたが、堤真一さんが演じる40歳にして漫画家を目指すべく突然会社を辞めてしまう主人公の姿に、

「そんなバカな」と思いつつも、本心では「頑張れよ」とエールを贈りながらスクリーンを見入ってしまうのは、自分ができない「勇気ある一歩」を踏み出した、すなわち自分自身の夢を代わって演じてくれていたからだったのではないでしょうか。

前置きが大変長くなりましたが、これまで別の職業に従事していた人が一念発起してITエンジニアを目指す場合、もちろん世間的には未経験扱いとなりますが、現実問題としてそれは可能なのか、何歳くらいまでなら転職を実現できそうなのかについて考えます。

「いつかはITエンジニアになりたい」と思いながら別の仕事を悶々とこなしている方々にとって、「勇気ある一歩」を踏み出すきっかけ、もしくはもう一度じっくりと考えるきっかけとなれば幸いです。

 ITエンジニア、未経験中途採用の現実

全体的な景気は一進一退を繰り返しながらも回復傾向にあるものの、一部の大企業を除いては「景気回復などまったく実感できていない」というのが一般的な世論ですが、ハローワークをはじめ、各種求人媒体を見れば募集が増えていることは明らかで、「全く仕事がない」と嘆く人たちに「一度求人誌を見てください」と言いたくなるほど枠はあります。

業界を問わず、ほぼ全ての求人で「未経験者OK」と記されてあり、職にありつきたい人にとってこの言葉はまるで魔法のフレーズと言えるほど希望を与えます。

しかし、それは、雇用対策法で年齢を理由に応募を妨げてはならないため表向き年齢制限を設けていないだけであって、実際は年齢の高い人ほど狭き門になっているのが現実です。

ITエンジニアでいえば、大手Sierであれば、未経験の中途採用はまずないと思って間違いありません。大手であれば紹介会社に高いお金を払ってでも採用すればすぐに元の取れる即戦力を採用します。

募集をかければ一線級のエンジニアが応募してくる傾向にありますので、未経験者が入る余地は残されていないのです。

とすれば残されているのは中小のIT企業。もちろんハイスペックな経験者を喉から手が出るほど欲しがっていますが、相応の予算を用意することができず、人材難が常態化しているのが現状です。

「人が足りない、でも応募が来ない」となれば「育てるしかない」ということで、未経験者にも門戸を開かざるを得ないのです。中小企業も止むに止まれぬ事情での未経験者採用は、未経験ながらITエンジニアになる夢を再燃させた人にとっては千載一遇のチャンス。

どうしてもITエンジニアになりたいのなら躊躇なく応募するべきです。

未経験からの転職ならば「ないのは実務経験だけ」というまで準備をしておくこと

 

中小のIT企業では、気付いたら客先の社員よりも様々な事情に精通しているエンジニアになっているような常駐での仕事が多くを占めることになります。

この場合、派遣契約にしろ、請負契約にしろ、客先と事実上の面談が実施されます。(業務開始前の面接行為は禁止されています)この客先での面談をクリアできるかどうかが採用されるか否かを分けるカギとなります。

第一に重視されるのはコミュニケーション能力です。「実務経験がない」という絶望的なビハインドの中、客先での面談をクリアし、信頼を得られるほどの受け答えができるかは、これまで培ってきた社会人としての経験も色濃く表れます。

そして、第二には「実務経験がない」分、自ら学び成長できる人材かどうかも成否を分ける大きな材料です。先に述べたように「実務経験がない」ことは絶望的なビハインドであることには変わりはありませんが、技術革新のスピードが速いこの業界にあっては現在最先端の技術は5年後、10年後には陳腐化していることも珍しくありません。

従って、ベテランのITエンジニアも新しい技術に関しては全く同じ土俵に立っていることになり、自ら主体的に学ぶ姿勢があれば、スキルの遅れはある程度カバーできると思われます。

いくら中小のIT企業が未経験者も採用して育成しようという方針を取っていても、会社が育ててくれることを期待しているようでは、間違いなく採用に至ることはないでしょう。

会社に期待して良いのは新卒や若手の転職希望者であって、ある程度の年齢に達していたならば応募に臨む段階で、事前学習や業界知識などの勉強を進めてあって、「ないのは実務経験だけ」くらいのレベルに達していなければ、未経験者の最大のアピールポイントにせざるを得ない「やる気」さえ疑われてしまうことでしょう。

ITエンジニアの未経験デビューの上限は

上記のことを鑑みても、ITエンジニアが未経験デビューを飾ることのできる年齢の上限は35歳くらいまでではないかと思われます。無論35歳以降ならダメというわけではなく、採用に至るまでのハードルが極端に高くなってしまう傾向にあります。

35歳となると一般の企業では中堅どころとなり、成長と言うよりは、これまで培ってきた物事を軸に成熟していく年齢ですし、中小のIT企業では下手をすると経営者やチームリーダーよりも年上であることも珍しくはありません。

一般的にみなされる年齢からくる伸びしろの目減りや、社内でのポジションなど、年齢を重ねることにそう簡単にはいかないこともあり、しかも、「未経験」のオマケがつくならば、なおさら採用に及び腰になってしまうのです。

ですから、未経験からITエンジニアとしてのデビューを飾りたいのであれば、早いに越したことはありません。時の流れは、あなたから「人生やり直し」のチャンスをじわじわと奪っていくのです。

最後に確認して欲しいポイント

未経験からITエンジニアとしてデビューを目指すのであれば、当たり前の話になりますが、「若ければ若いほど、早ければ早いほど良い」という結論に辿り着かざるを得ません。それは学生の頃からシステム工学を専攻し、新卒から腕を磨いているITエンジニアと同じ土俵に立つのなら、年齢は若いに越したことはありません。

しかしながら、ITエンジニアの需給は非常に逼迫しているのが現状で、未経験でも採用後の育成も視野に入れて採用を行っているIT企業も増えてきている点において、35歳以上の人にも狭き門ながらもチャンスがないわけではありません。

未経験者同士で何を以って差をつけるかと言えば、ありきたりですが第一に「やる気」、次は業界を問わず積み重ねてきた「経験」です。

IT業界は、テクニカルな知識や技能を持つエンジニアよりも、マネジメントやコミュニケーション能力などのヒューマンスキルを兼ね備えた人材不足が深刻であることからも、ミドル層以上が未経験からのITエンジニアへ挑戦するのであれば、これまで培った経験をどれだけIT業界で役立てられるかを澱みなくアピールできるかが成否を分けるのではないでしょうか。

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