ITストラテジスト難易度と試験、資格を取得するポイント

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ITストラテジスト

※2015年7月14日の記事を再構成(文言の追加)をして作成した最新記事です。

IT業界に限らず、資格はその人の技量を証明するひとつの指標となります。

弁護士や公認会計士などの所謂「士業」は、資格があって初めて就くことのできる仕事であり、その資格は難関試験を突破した高い能力を持つ証として絶大な社会的信用を得ています。一方で、ITエンジニアなるのに特別な資格は必要なく、資格ゼロながらも活躍している人は少なくありません。

しかし、IT業界で資格が必要とされていないかと言えば、実態はその逆で、国家資格やベンダー資格も含め100を超える資格が乱立しているのが現状です。

特にIT業界は他業種と比べても人材が活発に流動しており、客先に出向いたり、何社も会社を渡り歩くITエンジニアも多く、採用側としても当人の実力を推し量る指標として資格を重視するようになってきました。

こうした背景もあり、ITエンジニアにとって資格取得は、絶対に必要というわけではないけれども、取っておいた方が確実にメリットを享受できるものとして認識されるようになりました。

ゆえに、取得している資格によっては就職、転職活動において有利に働くことはいうまでもありません。

また、企業内においても資格取得を推奨し、また資格に対して相応の手当てを支給したり、昇格昇進に資格取得を条件としているところも増えてきているそうです。

IT業界に勤める人にとってはIPA(情報処理推進機構)が実施している情報処理技術者試験が一般的ですが、中でも高度試験のひとつに数えられる「ITストラテジスト試験」がその最高峰とされています。

今回は、そのITストラテジスト試験の難易度と試験、そして合格者の声などを取り上げます。

そもそもITストラテジストって何?

ITストラテジストと聞いても、IT業界に蔓延する横文字の一種のように思えるかも知れません。もともと「ストラテジスト(strategist)」の辞書的な意味は「戦略家、策士」、歴史上の人物で言えば、三国志でお馴染みの諸葛孔明、戦国の世を生きた黒田官兵衛、戦争論を著したクラウセビッツがそれに当たります。

ITストラテジストは、ITに関わる戦略家を指し企業経営の重要な役割を担う人材と言っても過言ではありません。

IPAでは、ITストラテジストの対象者像を下記のように定めています。

「高度IT人材として確立した専門分野をもち、企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、情報技術を活用して改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者。

また、組込みシステムの企画及び開発を統括し、新たな価値を実現するための基本戦略を策定・提案・推進する者」

上記の対象者像を分解すれば、次のようになります。

①高度IT人材として確立した専門分野を持っており、
②企業の経営戦略に基づいて、
③ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、
④情報技術を活用して、
⑤組込みシステムの企画及び開発を統括し、新たな価値を実現するための

基本戦略を策定・提案・推進する人材がITストラテジストであり、この試験で求められる対象者像なのです。すなわち、IT技術者としての圧倒的な専門知識を有しつつ、かつ理論に立脚した卓越した経営感覚をもって会社や事業、そしてチームを動かしていくスペシャリストとゼネラリストの両面を兼ね備えたハイスペックな人材こそがITストラテジストを名乗ることが許される、と言うことができます。

社会に出てから長きに渡って腕を磨いてきたITエンジニアは、職人気質の人が多く、日進月歩のテクノロジーに追いつき追い越すべく研鑽努力に勤しんできた生粋のスペシャリストです。

それゆえに、年月を重ね、ポジションが上がっていくほどに求められる管理者としてのスキルやゼネラリストとしての能力に少なからず悩みや不安を抱えていると言われています。それゆえに、ITストラテジストに求められる要求がどれほど高度で難しいものかを肌で感じています。

ですから、ITストラテジストの下で働くエンジニアたちは、「これぐらいはできるだろう」という期待も込めた厳しい眼差しを向けていると同時に、根底では「この人なら間違いない」という絶大な信頼を寄せているのです。

「経営陣は現場のことなど全く分かってない」というのは、最前線で働くITエンジニアたちが口癖のようにこぼす不満の定番のようなものですが、現場のメンバーたちと同じように腕を磨き、エンジニア思考が身に付いているITストラテジストは経営陣の期待はもちろんですが、現場との感情的な距離を埋める重要な役割も担っているのです。

ITストラテジスト試験とは

ここからは、ITストラテジスト試験の概要について説明していきます。

ITストラテジスト試験は、経済産業省が主催する国家資格「情報処理技術者試験」の区分のひとつで、企業の経営戦略に基づき、情報技術を活用してビジネスを成功に導くCIOやCTO、ITコンサルタントを目指す人に最適です。

一定の研修や実務経験を要する資格ではなく、マークシート、記述、論文のみの試験ですので、寸暇を惜しんで勉強すれば決して合格できない試験ではありませんが、情報処理技術者試験の最高峰とされるだけあってそのハードルは極めて高いものとなっています。

この試験で要求されるストラテジー(戦略)思考は、あらゆる分野で必要とされ、企業の多くが弱みとして認識している能力だけに、この世界にいるならば挑戦すること自体が自身のレベルアップにもつながっていくことは間違いありません。

ITストラテジスト試験の難易度

IPA(情報処理推進機構)が行う応用情報技術者の上位資格(レベル4)でIT最難関の資格試験です。平成25年度の合格率は15%と他の資格と比べて狭き門となっています。試験では、ソフトウェア開発の経験や知識の他に、顧客企業のビジネスモデルにおける問題解決の経験が必要になります。

そのため、ITのスキルはもちろんのこと、主に業務プロセスや経営戦略におけるノウハウ、知識が必須です。構築したシステムがどう動くかばかりでなく、その結果、経営にどのようにつながっていくかまで視野を広げていく必要があるのです。

ITストラテジスト試験の概要

(1)午前Ⅰ 多肢選択式(四肢択一) 30問(50分)、試験時間9:30~10:20(50分)

午前Ⅰは高度情報処理技術者試験での共通問題です。コンピュータシステム、開発技術、プロジェクトマネジメントなど、基本知識から応用技術まで幅広い内容が出題されます。

過去2年以内にデータベーススペシャリスト試験、システムアーキテクスト試験、ネットワークスペシャリスト試験、または他の高度科目試験の午前Ⅰに合格していれば免除されます。対策は何と言っても過去問です。ほとんどの問題が過去問と同じかそれに近い問題が出題されますので、何度も解き直しておきましょう。

(2)午前Ⅱ 多肢選択式(四肢択一) 25問、試験時間10:50~11:30(40分)

午前Ⅰと同様、多肢選択式の出題形式で、午前Ⅰと同様にコンピュータシステム、開発技術、プロジェクトマネジメントなど、基本知識から応用技術まで幅広い内容が出題されます。こちらも、ほとんどの問題が過去問と同じかそれに近い問題が出題されます。午前Ⅰとの違いはよりマネジメントやストラテジー系に特化した問題が出題されます。

(3)午後Ⅰ 記述式 4問出題-2問解答、試験時間12:30~14:00(90分)

与えられた事例(会社や事業の概要、課題・問題、条件など)に対し、ITストラテジストとして適切な判断を記述方式(数十文字)で回答します。

(4)午後Ⅱ 論述式 3問出題-1問解答、試験時間14:30~16:30(120分)

ITエンジニアとしての知識と経営者の視点から2時間で3,000文字の論文を作成します。あくまで経営者の目線で論述していくことがポイントとなります。普段キーボードを使っていて文字を書く機会の少ない人は書く速度を速める訓練も必要となります。

上記(1)~(4)において(1)~(3)が60%、(4)が評価ランクAのいずれの基準を満たさなければ合格できません。これがこの資格が最難関と言われる所以です。

ITストラテジスト合格者、喜びの声

合格者の声① 社内での評価が上がり資格手当が支給されました!

ITストラテジストを取得したことで社内での評価が上がったと思います。会社が情報処理技術者試験の資格取得を奨励しているため、資格手当が支給されるようになりました。

合格者の声② 経営知識が身に付き、高い意識で仕事に取り組めるようになりました。

これまでの技術や知識は現場でのトライ&エラーを通じて体で身に付けたものでしたが、ITストラテジスト試験に向けて腰を据えて学習したことでこれまでの知識が体系化され、かつ経営知識を身に付けることができました。

これまでは、目の前や近くの仕事を片付けることに夢中でしたが、ITストラテジストの学習を通じて、今の自分自身の取り組みが、どのように会社に影響を及ぼしどれだけの貢献をしているのかを意識して仕事をするようになりました。その結果、常に高い意識を持って仕事に取り組めるようになりました。

合格者の声③ 資格をどのような仕事に活かしているか

働きながらITストラテジスト試験の勉強をするのはとても大変でしたが、働きながらだったからこそ、身に付けた知識との関連性が深く理解でき合格につながったのだと思います。

現状、経営層の人たちが経営判断を下すシステムの構築に取り組んでいますが、この学習を通じて経営層の視点を身に付けられたからこそ順調に進められているのだと思います。これまで培った知識を以ってITを経営により活かせる人材となって会社に貢献できればと思っています。

最後に確認して欲しいポイント

ITストラテジスト試験は情報処理技術者試験の中でも最難関のひとつで、IT系では唯一、弁護士や公認会計士、医師等と並び厚生労働大臣によって高度専門知識等に指定されている資格です。

合格者の平均年齢も40歳前後であることからも日々の学習に加え相応の経験も要求されている資格であると言えます。ですから一朝一夕には合格できない資格です。

しかし、まさに「継続は力なり」で地道な学習の積み重ねが合格につながります。諦めずに粘り強く挑戦し続けることが大事です。

 

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