IT業界は長時間労働が当たり前?残業時間を減らすための改善策とは

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残業時間

2015年10月20日の記事を再構成(文言の追加)をして作成した最新記事です。

IT業界は、一般的に残業時間の長い企業が多いと言われています。労働基準法第32条では「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない」と謳われているものの、依然長時間労働が横行しているのが現状です。

もちろん仕事には、こだわりも生まれれば納期もあり、また繁忙期もあります。ですから、長時間労働も時として仕方ない面もありますが、それが常態化している企業も少なからずあるのが現実です。

過度な残業によって健康を損ねたり、精神に変調をきたしたり、その果てに過労自殺や過労死という悲劇がもたらされたとしたらそれは本末転倒に他なりません。

残業が「企業文化」だった時代

世界中から「奇跡」と言わしめた戦後の日本の経済発展の原動力となったのは日本人の勤勉さであったことは言うまでもありません。

「生きるために」「家族を支えるために」という強靭な意志の下に焼け野原を奔走した先達の流した血と汗と涙が、現代の豊かな日本の礎を築いたと言っても過言ではありません。

高度経済成長期には、「エコノミック・アニマル」と皮肉られても、頑としてその道を突き進み、バブル期には「日本が地球を買い占める」と恐れられるほどにまでなりました。

1988年に発売された栄養ドリンク「リゲイン」のCMで流れたキャッチコピー「24時間戦えますか!」は、当時の日本人の労働観を象徴したものとして余りにも有名です。

かつて企業戦士と呼ばれ、文字通り「24時間戦っていた」日本のビジネスパーソンを駆り立てたのは、終身雇用、定期昇給といった安心して働ける旧来の日本企業独自のシステムにあったと思われます。言わば、現代版の「御恩と奉公」が成り立っていたのです。

ある会社の専務取締役を務める50代の男性は次のように語っています。

若い頃はまだ給料が安くてね。残業を沢山してお金を稼いだものだよ。

月によっては基本給よりも多くなっちゃてさ。
その貯金で車を買ったり、結婚資金に充てたんだ。

この言葉には、残業に対するネガティブな思いは微塵も感じられません。そこには氏が旧来の日本企業の雇用システムに加え、残業することのメリットを享受していたことを読み取ることができます。

残業はもはや企業にとって「デメリット」でしかない

先に述べた旧来の日本企業の雇用システムは、経済が右肩上がりに成長し、同時に企業も業績が伸びていくことを前提として構築されたもので、いざ不況が長引くとそのシステムは瞬く間に崩壊の一途を辿ります。

バブル崩壊以降の「失われた20年」、業績が伸び悩んでいるにもかかわらず、人件費だけが高騰してはとても企業は持ちません。そこで多くの企業が、旧来の雇用システムの改変と大規模なリストラを断行しました。「リストラ」という言葉が流行語になったのもこの時期と重なります。

そして次に手を付けたのが業務効率の改善です。できる限り無駄を排除し、効率的に収益を上げることが優先されるようになりました。その結果、残業を極力抑制しようとする動きが生まれるに至ったのです。

この一連の残業抑制への流れに至る過程で、人員配置や業務量を精査したところ、常態化していた残業の大部分が業務効率化によって削減できるものと判断されるに至りました。

すなわち、企業にとって残業はデメリットでしかなくなっていったのです。

このなりゆきにあって、まだ残業が常態化している企業があれば、それは「みなし残業」と言って、一定の残業時間にのみしか給与が支払われない、もしくは完全な「サービス残業」が行われている可能性があります。

経営陣が「残業は給与に含まれている」、「能力がないから残業しなければいけないんだ」と豪語しているのなら、その企業の法令遵守意識が疑われます。

人件費抑制という企業の論理によって残業の対価が支払われない状態ならば、従業員にとってはそれこそモチベーションが上がらないどころか、積み重なれば心身に偏重をきたしかねません。

「残業しろ、でも残業代は払わない」は企業側の勝手な論理であって従業員にとってもまさに「百害あって一利なし」の憂うべき事態なのです。

「残業は減らせない」という考えを改める

やや古い資料になりますが、gooリサーチ(現NTTコムリサーチ)が行った「残業と仕事の効率化に関する意識調査」によると、残業が減らない理由として、「時間内に仕事が終わらなければ、残業すれば良い」、「周りの人が残っているのに、

自分だけ早く帰るのは後ろめたい」など、仕事のやり方次第で解決できたり、残業をする論理的な理由とは思えない解答が上位を占めました。

一方、「仕事を効率化するために会社のツールをどのように活用しているか」という問いに対しては、「特に何もしていない」という回答が突出して多いなど長時間労働が常態化している企業は、そもそも残業時間を減らすことに対して本気で取り組んでいないことが明るみになりました。

また、ワンマン経営者の影響力が大きい企業だと、残業時間が忠誠心のバロメーターとされる風潮も見受けられ、「アピール残業」が蔓延している場合もあります。まずは、こうした無駄の多い残業の実態を明らかにし、「残業は減らせない」という考えを改めるべきではないでしょうか。

個人は「仕事を効率化する工夫」を

残業時間を減らすために、まずは残業ありきの働き方を改め、就業時間内に終わらせるために仕事を効率化する工夫を続けることが重要です。

スケジュール管理をしていない会社であれば、自分だけでもスケジュール管理を始めてください。また工数がわかる形での日報も必要です。最初の1ヶ月で現在の仕事の内容と進め方を書き出してみましょう。

貴方が職責のある人でしたら、自分の部下も一緒に始めるよう進め、チーム単位で現状把握ができるとより効果的です。

そして、2ヶ月目には月標準の労働時間を160h(8時間×20日)とした場合、常に30%ぐらいの余力を持たせた状態でタスクの優先順位を決め、業務スケジュールをこなしてみます。

予定されているタスクは70%の112時間以内で行い、余った48時間は突然頼まれた仕事やトラブル対応の時間に割り当てるスケジュールを作成し、結果として日報も入力してみてください。

すると2ヶ月目が終わる頃にはスケジュールがそもそも甘かったかどうか、またスケジュール通りにいかなくなる原因は何なのか、ということも見えてくるでしょう。

残業が多かった現状から考えると、むしろスケジュール通りに出来ないことばかりとなるでしょう。元々一人でこなせる仕事の量じゃなかった、と会社に愚痴るのも良いですが、そこは一旦ITエンジニアとして、もっとシステム的に考えてみてください。

例えば、余力の30%の内訳が毎月同じようなものになるのでしたら、それは改善しなくてはならないものと考え別タスクとして切り出し、解決までのスケジュールを新たに引きましょう。毎月何らかのトラブルが発生する、巻き込まれるということでしたら、

その原因はシステムなのか人間関係なのかを考え、もし自分だけでは解決できない内容であれば手伝ってくれる人を探し、少しずつでも原因改善に努めます。

一見、仕事が増える事になりますが、タスクの優先順位をきちんと考えた時に、先送りにできたものがあるはずです。それをやろうとしていた時間を使って、この改善を行う時間に充てましょう。そうしないといつまでのこの現状を打破できません。

本来、余力とはトラブル対応に充てる時間ではなく、自分が仕事に貢献出来ることは何か、を考える時間になるべきです。コスト削減につながる提案の準備をするとか、非効率な手作業をやめ、ツールを作ったり探したりしてミスがない自動化を考えるなど、仕事のやり方を前向きに変える時間に宛てて下さい。

コストを削減するということは会社の利益向上に貢献できますし、自分の仕事を効率よくこなせるということは、結果として業務改善となり、評価にも繋がります。

仕事の立場によっては余力なんて作れないし提案やツール作成も難しい。と考えてしまう場合もあるでしょう。その場合はもっと個人的な改善でも構いません。IT業界にいるのですから、ITを有効に使った効率化を考えてみましょう。

例えば外出が多い仕事の場合、タブレット端末ひとつあれば、TV会議で移動時間と交通費を削減でき、クラウドサービスを使えばメールやFAXの送受信も会社に戻らず行えます。

もしくは書類のプリントアウトもやめてPDFに出来るだけ置き換え、どうしてもという場合はコンビニのマルチコピー機のプリントサービスを利用して出力するなどすれば、帰社しないとできない仕事も減り、帰社するための時間を削減できるはずです。

会社の規則が厳しくてタブレットなんて使えない、という貴方、使えない理由を知っていますか。そこで諦めずに情報システムを管理している部署に掛けあってみましょう。なぜダメなのか。ノートPCなら良いのか。また、条件次第で使えるのか。

明確な回答が得られないのであれば、改善できる余地があるかもしれません。

タブレットがダメな理由の多くは、「セキュリティーの確保が難しい」ということです。失くしやすいものですし、失くした時のリスクが大きいと考えている企業も多いでしょう。

しかし、それはタブレット内にデータが入っていることを前提としているからだと思われます。タブレット内に一切データを置かず。クラウド上で運用をしている企業も増えてきており、セキュリティーが確保された領域からデータを取り出すだけのツールとして使えば、メリットの方が多いツールになり得るものです。

例えば、その事例をきちんと調べ、タブレットを使った業務効率化がどれくらいのコストメリットがあるのかも添えて再度上司や情報システム部署に話してみても良いでしょう。

また、同じ意見をもつ人を社内で探し、一緒に改善提案が出来ないか相談し、ある程度まとまった人数からの意見にすると、検討されやすくなるでしょう。

結果としてタブレットの導入はかなわなかったとしても、改善のために努力したことは残りますし、提案のために何をすれば良いのかを学べたことが、次に役立ちます。

ただのわがままのような、「タブレット導入」という意見でも、得たものは少なくなかったはずです。

重要なのは、今行っている仕事への考え方を変えることです。淡々と同じことを繰り返しているだけは残業も減らずに、自分の成長もできず、会社への貢献も出来ないということです。これを理解せずに仕事を行っていても、それは作業でしかありません。

残業を減らすという努力は、遠からず業務改善へ繋がります。自分の出来ることからはじめましょう。

また、もし貴方が情報システム部門の人間だったとしたら、これらのことを自分のメインの仕事と捉え、ユーザの為の改善提案を怠らないようにして下さい。貴方の改善がきっかけで、社員の残業を減らせることが出来るかもしれません。

「残業が少ない会社」を選ぶのも防衛手段

近年は、働き方に対する考え方も多種多様化し、ワーク・ライフ・バランスを重視していこうという流れになっています。一般的に残業が多いとされているIT業界でも、もちろん残業抑制に積極的に取り組んでいる企業も存在しています。

ですから、就職・転職の際に「残業が少ない会社」もしくは「残業抑制に取り組んでいる会社」を選ぶことも手段のひとつとしては有効です。

まずは求人内容のチェックです。残業が少ないことをアピールポイントに挙げている企業ならば、実際に少ない、もしくは残業抑制に取り組んでいると見て間違いはないでしょう。

逆もまた真で、「残業あり」の記載のみで明確な目安となる時間が明示されていない場合には、「デスマーチ(過酷な労働環境)」も少なからずある企業だと思って相違ありません。

また、面接時にしっかりと確認するのも大切です。こちら側は「残業が少ない会社」を希望しているわけで、残業に関する質問に面接官がムッとしたならば、残業に関して後ろめたいことがある証拠。最初から縁がなかったと思うことにしましょう。

転職を目指す人にはもうひとつ、転職エージェントを通じて確認を取るという手段もあります。いくら求人内容や面接で確認してもフタを開けてみたら…というのはよくある話です。

聞きづらい質問だからこそ、転職エージェントを有効に活用しましょう。ただ転職先を紹介するだけでなく、雇用のミスマッチを防ぐことも彼らの仕事でもあるのです。

就職・転職の際に残業過多による弊害から自分自身を守る手段として選択肢に入れておくと良いでしょう。

企業は「残業は悪」と考えつつある

一方、企業側も、「残業しない手当」を出して残業時間の抑制に成功した企業が現れるなど徐々に残業時間を減らす風潮が生まれつつあります。

残業代が未払いならば論外ですが、残業時間を抑制できれば、実は無駄の多かった残業代を削減できますし、多少手当を出しても十分元が取れます。

それで会社の士気が上がるなら取り入れない手はありません。もともと、「残業代で稼ぐ」という発想が間違っており、そういう社員こそ昼間はのんびりとしたペースで仕事をしています。

中には周りに人がいなくなった方が仕事に集中できる、という理由で残業時間帯に好んで仕事をする人もいるようですが、それなら先程の提案のように、社外で仕事ができるような環境を整えるか、社内の机の配置を改善したり、ヘッドフォン利用を推奨するなど、別の方法があるはずです。

そこまで経営陣が意識を改め、「残業は悪」と考える風土を醸成していくことが肝要ですが、意識を変えてもらうための努力は、社員側からも行うことができるのです。

最後に確認して欲しいポイント

IT業界にありがちな過酷な労働環境、長時間労働も工夫と配慮によってかなり改善されるはずです。就業中の無駄を排除し、生産性の向上を図ることによって残業の抑制、長時間労働の緩和を図ることができる他、仕事以外の時間を充実させることによって生活にメリハリができ、結果的にさらに仕事の生産性を上げることにもつながります。

まずは、自分自身の業務内容をチェックすることから始めてみましょう。小さな工夫がやがて主流となり、全社的な取り組みへと変わるかも知れません。

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