ITが当たり前で育った、若手ITエンジニアを育成するために大切なポイント

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企業経営において、「人材育成」は売上や利益を伸ばすこと以上に大切で、やり続けることが難しい永遠の課題ではないでしょうか。

期待に応えて一人前に育った「人財」は会社の成長を担う中核となり、やがて後進の育成へとその情熱をシフトしていきます。

こうした人材育成のサイクルが醸成された企業は、景気や流行などの環境要因に左右されることなく安定して業績を上げています。

「人材育成」は、まさに企業が長きに渡って存続するための先行投資でもあり、業績に跳ね返ってはじめて投資に見合ったリターンが還ってきたと言えるのではないでしょうか。

「企業30年説」という言葉をご存知でしょうか?この説は1983年に日経ビジネスが企業の資産総額のランキングを下敷きにしたもので、当時はかなり衝撃的に受け止められました。

そして、およそ20年の後、日経NEEDSが2004年9月に発表した調査結果「『会社の寿命30年』説を検証優良企業ランキングとの関係は?」でも「本当に生きが良いのは最初の10年」「元気な優良企業でいられるのは30年まで」

という実証結果を導き出したように、もちろん全てではないけれども世の中でほぼ通説として受け入れられています。

この30年と言う期間の理由は様々で、商品やビジネスのライフサイクルをその根拠とする識者もいますが、実際のところは、後継者が育ってないというまさに「人」の問題が最大の要因とされています。

IT業界も、2000年代初頭のITバブル時代に創業した企業からすれば、30年までの折り返し点をとうに過ぎています。

この時期に来て人材育成に関する悩みや問題が噴出しているならば、IT業界も何らかの有効な手が打てなければ「企業30年説」と無関係とはいってられないかも知れません。

生まれながらにITに囲まれた若手エンジニアを育成するためには?

現在、人を育てる立場となった中堅エンジニアは、Windows95に始まるパソコンの普及期を経験し、肩掛けカバンのように大きかった携帯電話が超小型のマルチデバイスに進化を遂げる過程を目の当たりにしています。

彼らが必死になって仕事に向き合っていた時代はまさに「IT革命」と呼ばれた時期と重なります。この頃に産声を上げた、もしくは勝機をつかもうとした企業は毎日が、お祭り騒ぎ。

今から見れば驚くほど低スペックなマシンの性能を使い倒して、無から有を生み出す苦しくも希望に満ち溢れた毎日を送っていました。

夜明けを迎えたばかりのIT業界にはまだノウハウなど存在せず、エンジニアは全くのゼロの状態から納品、保守にいたるまでありとあらゆる業務を引き受けてきました。

ない物は作ってしまう、できないこともあるもので何とかしようとする…こういった時代を力業で乗り切った経験が、現在の日本のIT業務を作ってきたと言っても過言ではありません。

「名前だけで飯が食える」ほどの優秀なシニアエンジニアたちはそれだけの修羅場をくぐり抜けてきた猛者なのです。

翻って、物心がついた頃にはWindows XPが一家に一台の時代を生きている若手エンジニアはどのような環境にいるのでしょうか。IT業界は成熟期に入り、エンジニアという職業は様々な分野にカテゴライズされ専門化、分業化が進んでいます。

膨大なノウハウが蓄積され、インターネットの発達によりナレッジも容易に入手できるようになりました。しかしながら、人手どころか多くの企業が「優秀なエンジニアが育たない」と頭を悩ませているのです。

あるITコンサルタントはその原因のひとつに、先に述べた高度な専門化と分業化を挙げています。それは、「昔は良かった」というような懐古主義でも、「技術は盗むもの」、「10年やって一人前」というような徒弟制度がいいと言っているわけではありません。

隣席の仲間が何をやっているかも分からず、目の前の仕事がどういった成果につながるのかを考えようとせず、もちろんクライアントの顔も分からずに自分の職分だけを黙々とこなしていくだけで、クライアントの要求を凌駕するいい商品が作れるのか、ということなのです。

日々技術が進化するITの世界で専門分野に特化したスペシャリストは必要不可欠です。しかし、みんながみんな近視眼的なほどに自身の職分を追究したところで、それぞれの自己満足が存分にちりばめられた、クライアントの満足度は程遠い物ができあがってしまうのです。

クライアントの信頼を得られない仕事は決して「いい仕事」とは言えません。次は回ってこないかも知れません。仕事が減れば、技術を活かす機会が減り、ゆくゆくは自分自身も同僚も後輩たちも腕を磨く機会が減ることを意味します。

このようにして、エンジニアたちは自らの手で成長の芽を摘んでしまっているのです。

現在のように、業務が分業化されると一つひとつのセクションにおける業務はよりシンプルに、単純化されていきます。そうすれば、人件費の安い海外の会社に発注しようという話が出てくるのは当然の帰結です。

日本ではIT業界の待遇改善が声高に叫ばれているけれども、新興IT企業がメキメキと育っている海外の開発途上国の方が遥かに安い賃金でも一定のクオリティーが担保された仕事をやってのけるのです。

IT業界も成熟期に入り、生産性を高めるべく業務改善を進めた結果が皮肉にも自分自身の仕事を奪われる結果となってしまっているのです。

長きに渡って第一線で活躍し、会社の業績に貢献するエンジニアを育成するためには、プロジェクトの隅々を体験させ、そこに携わる仲間たちの気持ち、クライアントの気持ちが業務とリンクする、すなわち、機械相手の仕事にも「心」を注入する訓練を積んでいく必要があります。

こうしてメンバーと一丸となって血の通った仕事をしていける人材こそがこの時代に求められるエンジニアの資質なのです。

「環境」の提供も育成の一環である

エンジニアの育成は、何も自分と同じ苦労をさせればいいというわけではありません。苦労は成長の糧となるけれども、振り返ってみれば「しなくても良かった苦労」も多いのではないでしょうか。

エンジニアとしての基礎体力を身に付けるためにも鍛えるところは鍛える、絞るべきところは絞る。しかし、「しなくても良かった苦労」はノウハウを駆使してサラッと乗り越えさせる配慮は必要です。

その分の余力は、当時の自分が果たせなかった高みに挑戦させるよう促し、励まし、やって見せることです。自分自身が辿ってきた成長カーブに少し角度をつけた経験をさせることで、「自分を超えていく人材育成」が実現するのです。

「居は気を移す」と言われるように、若手エンジニアにとって先輩も含め職場はまさに環境です。とすれば環境づくりもまた人材育成の大事な要素ということができます。

「甘やかす」のではなく、成長の前提となる材料を過不足なく揃えるのもまた会社の役割なのです。例えば、PCのスペック。若手だからと言って低スペックのPCを与えたらそれこそ仕事の大部分が待ち時間。

この待ち時間が間違っても「意味がある」という人はいないでしょう。そして社内で学びの機会や、情報交換をする場が設けられているかも大切です。

ナレッジが容易に手に入る時代になったとは言え、人から評価を受けたり意見されたりする経験は少なからず成長を後押しするはずです。

最後に確認して欲しいポイント

社会人たるもの、人材育成も含め「人の悩み」から解消されるのは社会人を引退する瞬間です。明確な答えはなく悩んでいるのが当たり前で、経験と試行錯誤の結果、その時点でベストな人材育成を心掛けるのが肝要ではないでしょうか。

育てられる側とは言っても、若手エンジニアは先輩を選ぶことはできません。そのことを肝に銘じ、最低でも可能性の芽を摘んでしまうことのないよう、日々成長を指向するエンジニアを目指してください。

 

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