歴史と先人から学ぶ、「ITエンジニアを目指す人」を育てる重要なポイント

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itエンジニア 教育

1996年に瀕死のイギリスが息を吹き返したのは、「鉄の女」マーガレット・サッチャー、同じ保守党のジョン・メージャー、そして労働党のトニー・ブレアの強力なリーダーシップが大きな役割を果たしたと言われています。

Ask me my three main priorities for Government, and I tell you: education, education and education.
(政府の最優先課題を3つ挙げろと言われれば、一に教育、ニに教育、三、四がなくて五に教育だ)

これは、その年に首相となったトニー・ブレアが就任時の演説で述べた言葉です。かつて人類史上最大の国土と勢力を誇った大英帝国は、二度の世界大戦を経てその国力は失墜し、その停滞ぶりは「英国病」とまで呼ばれていました。

「英国病」克服の総決算としてブレアが掲げた最重要政策がまさしく教育であったのです。あれから20年イギリスに「英国病」の後遺症は見られず、欧州内で大きな影響力と発言力を持つ国へと変貌を遂げました。

この事例は、国家の根幹を形作るのはまさに「教育」に他ならず、それは長い時間をかけてゆっくりと育まれるものであることを示しています。

我が国日本においても、国を挙げての教育制度が機能していなかったにも拘らず、はるか古から寺子屋のような民間の教育機関が発達しており、その教育水準の高さは1858年の開国後、未開の国だと思ってやってきた西洋列強の外国人たちが驚いたという記録も残されています。

それから僅か40年余りの間に西洋列強と肩を並べるほどの近代化を果たすことができたのは、日本国民のほぼすべてが「読み、書き、そろばん」の基礎的な学力を身に付けており、最先端の技術を学ぶ土壌がすでに整っていたからに他なりません。

現代になっても教育制度に関しては、明治維新から150年を経ても未だに試行錯誤の繰り返しで、一進一退を繰り返している様相です。

しかしながら、事あるごとに教育制度が問題になるのはそれが国家の根幹を形作るのは教育に他ならず、それだけに大きな関心を呼んでいる証左と言うことができるでしょう。

日本を訪れた外国人観光客の中にはボロボロの服をまとったホームレスが普通に新聞を読んでいる姿を見て、「字が読めること自体が凄い」と、ある意味「クールジャパン」を感じるのだそうです。

このように高い教育水準を維持してきたからこそ、日本は様々な困難を乗り越え、先進国としての地位を保ち続けているのです。

そして、ITが人類の生活の隅々にまで入り込んでいく21世紀は、日本の教育を担ってきた「読み、書き、そろばん」に加え「プログラミング」が学習の基礎の一角を占めるかも知れません。

IT業界の著名人が語る「プログラミング教育」

参考サイト:TECHACADEMY magazine

では、実際に日本のIT業界をリードするトップランナーは「プログラミング教育」についてどのような考えを持っているのでしょうか。

5名の著名人の声を集めました。いち経営者だけに留まらず、社会に大きな影響力持つようになった経営者の生の声からも、やはり教育にITは欠かせない時代になることは間違いなさそうです。

三木谷浩史氏(楽天 代表取締役会長兼社長)

「IT(情報技術)産業の技術者の供給源である情報工学や数学などの修了者は、日本では年に約2万3千人。米国では約25万人、中国では約100万人といわれる。英語とコンピューターの簡単なプログラムが組めることを現代の読み書きそろばんと位置付け、高校や大学の一般教養の必須科目に組み込んではどうか」

堀江貴文氏(元ライブドア 代表取締役社長CEO)

国が行っている雇用保険の給付の切れた失業者対策の教育訓練についてホリエさんならどう改善されるかという質問に対して「自分ならもっとオープンソース系のPerlとかPHPとか簡単でウェブ上に色んなモジュールがタダで手に入り参考書や参考サイトが多数あるものをやらせますけどね。

DBもMySQLとかね。んでLinuxクラウドでサーバ立てる方法とかマネタイズの実例とか。最悪一人でも食っていけるようなスキルを身につけさせます」

まつもとゆきひろ氏(プログラミング言語Rubyの設計者)

「中学生時代にプログラミングをはじめた私自身も含めて、若い頃からプログラミングに「はまった」人たちは、結局、コンピューターを使いこなすのが楽しいからこの道に進んだようなもので、教科書に書いてあるから、あるいは学校の授業だからという理由でプログラミングをはじめた人など見たことがありません。

プログラミングを教えるというのであれば、少なくとも教える人はプログラミングの楽しさを自覚している人でなければ成果をあげられないと思いますし、そのような人をそれぞれの学校に配備するのは大変難しいことだと思います」

南場智子氏(DeNA取締役ファウンダー)

「それから教育。今までの日本の教育は戦後、加工貿易立国として決まったことをやるのには適していた。今や国を超えて活動するのが当たり前の時代に、自分の足で活躍する人材が生み出せるか。

欧州は英語での読み書きに不自由がないので、日本はそうとう遅れてしまう。これからは日本語、英語に加えてプログラミング言語が必要だ。プログラミング言語は、アイデアを形にする武器であり、のりとはさみと一緒だ」

藤田晋(サイバーエージェント 代表取締役社長)

「今の日本のIT企業の経営者は、マネジメントと営業力がすごいという人ばかり。いつか、日本からアップルやフェイスブック、ツイッターのような企業が登場してほしいと願っていますが、そのためには、エンジニア思考の経営者が増えなければならないのです」

「これからITエンジニアを目指す人」に必要なこと

人類は連綿と受け継いできた何千年位もわたる歴史の中で、大航海時代や産業革命など歴史の針を何世紀分も進めるようなイノベーションを経験しました、そしてIT革命は、後世の歴史家が前者と並び称されるほどの大きな転換期であったと評価を下すことは間違いありません。

造船技術や航海術、蒸気機関が世界を変えたテクノロジーであったのと同様に、ITは人類の生活をより便利に、豊かにし、数々の問題を解決する新時代のテクノロジーなのです。その意味においては、私たちが生きているのはまさに「変革の時代」と言っても過言ではありません。

物心ついた頃からパソコンや携帯電話が身近にあった世代が、現在の技術をベースにより新しくて便利で楽しいものを作り上げていくには、まず現代版の「ものづくり」とも言えるプログラミングに興味を持ち、その深さにますます魅せられるほどの好奇心と愛情を持ち続けられるかが大事なのではないでしょうか。

古今東西、「好きこそものの上手なれ」は、人類が存在し続ける限り絶対の真理です。そこが第一のスタートとなります。得意となる開発言語を習得し、日々アップデートされるテクノロジーを追いかける日々が着実にITエンジニアとしての成長へとつながっていくのです。

テクノロジーに完成はありませんが、高度なレベルに達したときに、様々な問題をテクノロジーによって解決していくことによって、業界だけでなく世の中の進歩にも貢献することさえあるのです。

最後に確認して欲しいポイント

いくらIT全盛の時代だからといっても放っておいても優秀なITエンジニアが勝手に育つことはありません。国家、業界、会社、部署単位で教育を重要視先と位置付け、地道な実践の積み重ねによって人材育成は実現するのです。

人の上、組織の上に立つ者こそ、教育を決して疎かにしてはならないのです。

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