「フリーランスプログラマー40歳定年説」を覆す鍵が自分自身にある理由とは!? 2017

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こちらの記事は2016年に公開した記事に最新の情報を加筆修正し、2017年版として新規公開したものです。

80年代初頭、二大国と並び称されたアメリカ合衆国とソビエト連邦との間で繰り広げられた軍拡競争が加速し、世界中が、いつ核戦争が起きてもおかしくないほどの緊張感に包まれていました。

このような時代背景にあって、高校生の天才ハッカーが始めたゲームが全面核戦争の引き金を引いてしまう映画「ウォー・ゲーム(1983年)」は、水際で回避された全面核戦争を巡る駆け引きを描いた人間ドラマであると同時に、来るIT時代を予感させました。

主人公であるデビッドは、今でいうところのパソコンマニアで、高校の教師用コンピューターに侵入し成績を書き換えるなどのいたずらを働く若きハッカーでありプログラマー。

ある日、接続したホストコンピューターが北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)のものとは知らず、そこにあった「全面核戦争」のシミュレーションゲームに興じていたところ、それがきっかけとなってホストコンピューターが現実の戦争開始へ向かって暴走を始める・・・

あれから30年以上がたち、この映画が現実ならばデビッドは現在50代半ば。

当時、一般の市民がせいぜいインベーダーやパックマンなどのシンプルな機構のゲームで小銭を片手に楽しんでいた頃に、アメリカ最大の軍事機密の鍵をこじ開けるほどの実力を備えた天才は、今もITの世界で活躍しているでしょうか。

世間でいわれるところの「プログラマー35歳定年説」

IT業界において、伝説となっているNECのPC-9800シリーズが全盛を極めた時代に、主力となって活躍したプログラマーは現在50代から60代です。

日本経済が右肩上がりの時代にこのシリーズを軸として思い切った設備投資をし、以降バブル崩壊の余波もあっていまだに更新せずに使い続けている企業も少なくないのだそうです。

そして現在のIT全盛時代の基礎となった2000年代初頭の「IT革命」を担ったプログラマーたちも40代を迎えます。

アップル創業者のスティーブ・ジョブズ、マイクロソフトのビル・ゲイツ、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグなどは、ITの歴史の中で後世に渡り語り継がれるに違いありません。ただ卓越した人材にプログラマー出身者が名を連ねているにもかかわらず、業界では「プログラマー35歳定年説」なる言説がまかり通っています。

その最たる原因は、プログラマーが厳しい環境下での労働を強いられ、かつ賃金が低いのと、30代以降は管理職としての働きを期待される日本の商習慣にあるとされています。

確かに、建設業界と同様に、日本のIT業界における最大の問題点とされる多重下請構造においては、プログラマーは上流工程で作られたシステムを清書する役割に過ぎず、大手SIerを頂点とするピラミッドの最下層で労働集約型の働き方を強いられていたことは否定できません。

ならば、半ば「体力勝負」の環境では年齢がネックになることは間違いありません。

しかし、IT業界では世界的にプログラマーやエンジニアの絶対数の不足が叫ばれ、日本国内では折からの人口減と業界に貼られた「新3K職場」のレッテルからか、なり手不足も深刻な問題となっています。

こうした事情から、プログラマーも労働集約型から知識集約型の働き方へとシフトしつつあります。自身が携わるITによって人に頼らず自動化できるものは自動化し、プログラマー目線での開発や生産性向上に特化することにより、年齢がかえって「経験知」として重視されるようになります。

世間でいわれるところの「プログラマー35歳定年説」は、手足となってキーボードをたたいている分には確実に訪れる節目かも知れませんが、研さん努力を怠らず、生産性向上に努めているプログラマーにとってはもはや無縁のものとなっているのです。

「フリーランスプログラマー40歳定年説」について

これがフリーランスのプログラマーとなると話はまた違ってくるようです。

元々軍需技術だったIT技術が民間に委譲され、大企業からITベンチャー企業にまで裾野が広がっていくにはタイムラグがあります。

現在50代から60代の人がプログラマーとして活躍した時期は、大企業が潤沢な資金力を背景にシステム開発に注力した時代。まだまだITはごく限られた人たちが取り扱う時代でした。

しかし、2000年代初頭の「IT革命」以降、パソコンや携帯電話が爆発的に普及するようになり、それに呼応して新興のIT企業が次々と誕生し正に群雄割拠の様相を呈するようになりました。

プログラマーも含めたITエンジニアという職業が世間に認知され、IT業界が花形産業となっていったのです。

これが、プログラマーの平均年齢が20代後半、その管理者でも30代と非常に若いケースが多い最大の理由です。

この場合、幾ら経験豊富だとはいえ、管理者が自分より年上のプログラマーを雇おうと思うでしょうか。若いプログラマーが自分の親ほどの年齢の人間と席を並べることを望むでしょうか。

システム導入が早く、長年の業務知識が必要とされる老舗企業などの業務は、管理者の年齢が高く40代以上のプログラマーにとっても大いに活躍の場がありますが、こうした業務は企業間取引のみに限定されており、個人事業主(フリーランス)に対しては門戸を閉じている場合が多いのです。

「フリーランスプログラマー40歳定年説」という言説は、プログラマーの個人的要因よりも業界の事情によって定説となりつつあるといえそうです。

脳は加齢によって萎縮し、実際に能力が低下している?

ただ、40歳定年説は、何も業界の事情ばかりとは限らないようです。ここで脳の働きに注目してみましょう。

脳の働きは、年をとればとるほど衰えると一般的には考えられています。お年寄りになると若い頃にしっかりとしていた人でも、若いときのようには動けなくなるのを誰もが知っているからでしょう。

加齢によって実際に脳が衰えるのであれば、40歳定年説はある程度の年齢を境に実際に脳が衰えることを根拠とするため、科学的に明確な理由に基づいていることになります。実際、脳科学では加齢によって脳が衰えることが実証されています。

日々10万~20万死滅するニューロン

40歳限界説は、脳の働きを考えたとき、加齢による衰えによるものとしても説得力を持ちます。脳の老化によって、実務に必要な記憶力や判断力・創造力が低下するわけです。実際に脳の機能は年齢を重ねるごとに衰えています。脳内物質は加齢によって実際に減り続けています。

代表的なのがニューロンの減少です。ニューロンは脳内に無数にある神経細胞の代表的な物質で、脳を機能させるための基本的な働きをしています。大人のニューロンは日々10万から20万という膨大な数が死滅し続けているそうです。一説にはニューロンは死滅するばかりではなく、脳の海馬で作られているそうなのですが、死滅する数に比べるとわずかであるため、基本的に脳内のニューロンは減り続けています。

ニューロンにはシナプスという物質がくっついていて、脳内のニューロンや他の脳内物質を結びつける役割を果たします。それによって、脳は複雑な思考を瞬時に展開することが可能になります。このシナプスもニューロンと同じように日々減っています。

ニューロンやシナプスは衰えとは関係しない?

脳内の神経物質が減っているから、脳は加齢によって衰え、若いときのように活発で柔軟な考えができなくなる、と考えがちなのですが、実は違います。脳内物質は減ることによって、脳内の最適な情報と情報を結びつけているのです。

情報社会になり、情報はあればあるほどよいとはいいにくくなりました。個人にとってインターネット内にある全ての情報が必要であるかというと、決してそうではないし、そもそも全ての情報を吸収できるはずもありません。ですから近年ではビジネスパーソンを中心として、情報デトックスが推奨されています。そのためか、断捨離のような無駄なものは全て捨ててしまうといった考え方が多くの人に受け入れられるようになりました。

脳内も同様に、必要な情報と不要な情報を識別し、不要な情報しか持たないニューロンやシナプスが死滅し、有益と判断された情報が優先され残るようになっているのです。ですからニューロンやシナプスの死滅は、脳内の最適化を果たす役割をしているといえます。

加齢によって脳内物質の質が低下する

では何が脳の老化を促進しているのか。ニューロンは死滅によって最適化の役割を果たしているものの、30代を境目に、結びつきそのものの質が落ちてしまいます。ですからニューロンの死滅が老化の原因なのではなく、質の低下が原因なのです。

原因はもうひとつあります。それは脳にある前頭葉・海馬・小脳の機能低下です。これらは記憶力や身体のスムーズな動き、手先の俊敏性を円滑に保つ働きをしていますが、加齢によって機能が低下してしまうのです。よく老化現象は身体のさびとして例えられますが、脳も機械のように、年月がたつことによってさび付いていっているのです。

ですからエンジニアに35歳・40歳限界説がまことしやかにささやかれるのも、決して業界の事情のみならず、脳の機能をよく理解した上で、人体における自然的な老化をしっかりと捉えた説であると考えられます。

エンジニア必須!脳のアンチエイジングを行う方法

美容やヘルスケア業界でアンチエイジングが盛んに叫ばれるように、脳も使い方次第ではアンチエイジングすることができます。そのための方法は様々にありますが、ここでは一例を紹介します。

エンジニアが仕事熱心であればあるほど、パソコンに向き合うことになります。その結果、仕事に没頭しすぎてコミュニケーションそのものが仕事の中でも気迫になり、生活の中で笑顔が少なくなってしまう人を時折見かけます。実は笑顔は、生活の中で脳力の維持に強い力を持っています。人間、笑わなくなると脳が衰えやすくなってしまうのです。現に、お年寄りに対しては、生活の中で笑顔が消えてくると、認知症を疑った方がいいなどともいわれます。

ですから毎日、意識的にであれ笑顔を心がけましょう。1人でいるときなども笑顔を作るようにすれば、脳内の前頭葉を活発化させる効果があります。

また、笑顔に限らず、強い感情を伴うときは、脳内が活発に働いています。エンジニアの方はクールな方が多いのですが、感情に任せて生きてみませんか。例えば怒ってみたり。感情豊かに生きることが、脳力の維持につながります。仕事は仕事で集中して行うべきですが、仲間と笑い合うことは悪いことじゃありませんし、オフくらいは目一杯仲のよい友人と遊び回るなどし、感情豊かに楽しく過ごしましょう。

「フリーランスプログラマー40歳定年説」を覆すために

「フリーランスプログラマー40歳定年説」は業界の事情や脳機能の衰えのみならず、単純な加齢に伴う体力の低下、また日々の研さん努力を続ける気力や進化発展を遂げる新しい技術の習得に対する向上心が、若い頃と比べて衰えてくることにも起因する言説です。

若手の瑞々しい仕事ぶりとみなぎるエネルギーを目の前にしたときについつい口に出してしまう「年だから・・・」という言葉によって自らを滅ぼしてしまうのです。

したがって、「フリーランスプログラマー40歳定年説」を覆すには、まず先に述べた「老け込んでしまう」要因を強制的に排除しなければなりません。

そのためには、常に新しい知識を吸収しなければならない環境に身を置くべく長期間同じ現場にとどまらず新案件に触れ続けること。

そして、「この件に関してはあなたにしか頼めない」という若手では埋められない圧倒的な強みを持つことが重要です。そして、フリーランスならではの横のつながりや、客先のリーダー格の人物の絶大な信頼を得る仕事を今のうちからやり遂げることです。

これではじめて、年齢によってふるいにかけられない、若手と同じ土俵に立つことができるのです。

もし、現在、フリーランスで余裕のある状況ならば、若手の従業員を雇い入れて業務のすみ分けをすることで、年齢からくるビハインドをチームでカバーすることもひとつの方法です。

「フリーランスプログラマー40歳定年説」とはいうものの、80年といわれる人生のまだ折り返し地点。まだまだこんなところでくじけるわけにはいかないのです。

最後に確認してほしいポイント

大相撲の世界で横綱昇進の際、喜びに湧く当人に対して親方は「引き際」について諭すのだそうです。これは、少しでも横綱らしからぬ相撲が続けば当人の気力体力に関係なく周囲が「引退」を迫る土壌があることが背景としてあるからです。

フリーランスプログラマーであれば「40歳」という年齢がそれにあたるのではないでしょうか。この限界説を覆すには、後にも先にも若手をりょうがするスキルと彼らには到底かなわない経験値を持って常に一目置かれる存在であり続けるしかありません。

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