フリーランスが老後、お金で困らないために必ずすべきこと

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フリーランス老後

2015年9月25日の記事を再構成(文言の追加)をして作成した最新記事です。

フリーランスの人も就業先などで、定年退職で会社を去っていく人を見送った経験はありませんか。

IT分野だと若い会社が多く、定年退職者はあまり見かけないかもしれませんが、その光景を表現するならば、それは「社会人の引退式」といっても過言ではないでしょう。


還暦を過ぎ、会社を退職した彼らには、貯蓄と退職金と年金を少しずつ切り崩して生きる余生が待ち受けています。これらの資金を無駄遣いせず、上手に運用できれば金銭的には生涯困ることはなさそうです。

しかし、フリーランスは事情が全く異なります。定年がない代わりに、退職金もなければ年金など会社員と比べると支給額は微々たるもの。フリーランスは独立すると間もなく「サラリーマンは守られているな」と痛感するそうですが、その状態は生涯続くことになりそうです。

生涯現役を貫けるのがフリーランスの強みですが、歳を重ねれば、身体は衰え思考力は鈍化し、加齢とともに大病を患うリスクも大きくなるでしょう。例え健康でも、若い頃に比べればテクノロジーの進化に追いつくのが難しくなるかもしれません。

フリーランスにもいつか「仕事ができなくなる瞬間」が訪れるのです。フリーランスも老後、お金で困らないために、早いうちから対策を立てておくことが重要です。

フリーランス老後、お金で困らないために

国民年金

年金加入は国民の義務です。フリーランス(第1号被保険者)は国民年金、会社員や公務員(第2号被保険者)が厚生年金に加入します。フリーランスになると厚生年金から国民年金に切り替わり、加入が義務付けられます。

会社員の頃には別段気に留めていない人も多いかと思いますが、会社員つまり第2号被保険者の厚生年金は、実は国民年金と厚生年金の2階建てになっており、当然のことながら老後に支給される年金も国民年金と比べるとかなり多くの額となります。

しかも、会社が半額を負担してくれますので、負担額が少ないうえに年金は多く支給される点では厚生年金の方がお得であると言うことができます。フリーランスになると軌道に乗れば収入は会社員の時代より多くなるかも知れませんが、老後の生活を加味して考えるとかえってマイナスになる恐れがないとも限りません。

「老後など何十年も先の話」と思うことなかれ、会社員からフリーランスになるなら、厚生年金と国民年金の差を補って余りあるほどの収入が得られなければ老後は苦しくなると心得てください。国民年金は、所得によらず支払額は定額です。日本年金機構のホームページで将来支給される年金額が試算できますので、老後の生活設計を行うためにも把握しておきましょう。

国民年金だけでは老後の生活もままならない

平成26年度、総務省「家計調査年報」によると世帯主が60歳以上で無職の世帯の1カ月に必要な生活費は平均約24万円とされています。また、65歳より支給される国民年金は月額約5.4万円(平成26年厚生労働局年金調べ)です。24万円の生活費が必要なのに、収入は夫婦2人でも約10.8万円、すなわち約13万円の不足です。

もし、65歳にリタイヤし、80歳まで生きられるとすれば単純計算で月27万円×12か月×15年で必要な生活費は概算で総額4860万円、年金支給額は月10.8万円×12か月×15年で1944万円です。とすると、2916万円のショートとなり、65歳までにこれだけの金額を蓄えておかなければ老後の生活はかなり苦しくなると言えます。

初婚年齢が年々上がっていますから、60歳代になるまで教育費がかかる場合もこれからは珍しくなくなるでしょうし、住宅ローンも30歳で35年ローンを組めば返済が完了するのもこの頃です。この状況で3000万円近くを蓄えるのは至難の業と言えます。

現状のシミュレーションでさえも、国民年金だけでは老後の生活もままならないのに、日本は未曽有の少子高齢化時代に突入し既に4人に1人が65歳以上の高齢者、現役世代の支給額はさらに目減りすることが容易に予想されます。極論では年金制度の崩壊すら予測される現状にあって、特にフリーランスは、自身の老後の生活も自分自身で守っていかなければならないのです。

そこで、国民年金基金や個人型確定拠出年金、小規模企業共済などの老後を守るための防衛策を講じる必要があるのす。

国民年金基金

国民年金基金は、厚生年金との年金額の差を解消するために創設された公的年金制度で、国民年金とセットで加入することが可能です。掛け金は将来にわたって一定で、全額所得控除で所得税や住民税が軽減されます。ですので、実質は可処分所得の増加につながり、その分を老後の資金に回すことも可能となります。

月額最大68,000円(年額816,000円)まで掛けることができ、65歳以降に利率(年1.5%)が上乗せされた分が年金として支給されます。月額68,000円は現実的な数字ではありませんが、35歳に加入して30年間積み立てれば利回りと合わせてかなりの額を補てんすることができます。

ただ国民年金基金は、リスクがほぼゼロである代わりに、それなりのデメリットもあります。まず、予定利率が固定されており(1.5%)、終身で確実に受給することができるものの、確実に元は取れるけれども、利幅が少ない点をどう捉えるかが加入の決め手となります。また、国民年金基金は、原則として途中解約をすることはできません。

老後の備えとは言え、65歳になって年金が支給されるまでの間、国民年金基金の支払いで苦しめられることのないよう、余裕のある積立額を設定するようにしてください。国民年金基金は、フリーランスの老後を支える強い味方と言われていますが、年々予定利率が低下しているのは気になるところです。

91年の設立当初は、年5.5%、00年に4%、04年に1.75%、2014年には保険料が7%値上げされた上に、予定利率が1.5%にまで低下しています。原因は少子高齢化の進行による準備金不足とされていますが、この流れからすれば今後保険料の値上げと予定利率の引き下げは間違いなく実施されるとみられており、いくら低リスクでも他の金融商品との優位性はますます低下しつつあるのが現状です。

また、近年は景気回復により長年続いたデフレスパイラルがひと段落し、今度はインフレ傾向に転じようとしています。もし、インフレが進んで普通預金が現在の予定利率を上回ることがあれば、国民年金基金の加入者の方は損をする「逆ザヤ」状態で、かえって損をしてしまう事態も起こりかねません。

個人型確定拠出年金

確定拠出年金は、私的年金でフリーランスが活用できるのが個人型確定拠出年金です。加入者が毎月掛け金を支払い、預金や保険、投資信託などで運用する制度で、運用次第で年金額が変動します。ただし、60歳まで引き出せないことと、金融商品の中には元本割れするものもあります。

確定拠出年金は金融商品を扱いますのでリスクも十分考慮に入れておく必要があります。確定拠出年金のメリットで注目されるのは税制優遇です。

個人型確定拠出年金は、運用期間中も売却益や分配金は非課税で、退職所得控除や公的年金等控除の優遇策があるので、60歳以降に引き出す場合は一時金にするか年金にするかかを選ぶことができるので、引き出しの際も税金はかからないか少額で済むことが多くなります。

掛け金は全額所得控除、運用益は非課税、受け取る際は「退職所得控除」「公的年金等控除」の対象となり、節税額もかなりの額にのぼります。フリーランスの年金としてはリスクはありますが、全体としてリターンは最も大きい年金と言えるでしょう。

小規模企業共済

小規模企業共済に積み立てをしておけば、廃業した際に会社員と同じように、退職金を受け取ることができます。月に1,000円から70,000円まで設定でき、経営状況い応じて柔軟に増額・減額も可能です。積み立てた金額は全額所得控除されます。

小規模企業共済は、納付月数に応じで掛け金の80%から120%相当が支給されますが、加入期間が240カ月(20年)未満の場合は元本割れしてしまいます。前もって、中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)のウェブサイトの加入シミュレーションを行った上で加入を検討しましょう。

最後に確認して欲しいポイント

「月収や年収を増やしたい」だけの理由でフリーランスを目指すならば、少々軽率であると言わざるを得ません。見かけの単価は確かに高額ですが、会社員時代のように退職金も出なければ、年金支給額も少ない中で老後の生活設計を立てなければならないことも重々考慮するべきです。

しかし、もともと退職金制度のない企業も増えており、時代の流れも終身雇用前提の世の中とは言えなくなってきているのもまた事実。思い切ってフリーランスで活躍する人生というのも悪くないと思います。

そのためにも、できるだけ長く働けるよう健康に留意すること、そしてフリーランスになった段階から老後の生活設計を行っておくことが重要です。人生の集大成である老後の生活が困窮しないためにもできるだけ早く、かつ真剣に考え始めてください。

 

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