フリーエンジニアが在宅ワークを成功させるには?

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日本人の平均通勤時間は片道約1時間と言われています。電車内は足の踏み場もないほどにぎっちりとすし詰めにされ、その様は前時代の囚人護送車を彷彿とさせます。

胸部を圧迫されても足を踏みつけられても声さえも上げられず、空調が追い付かないほどに澱み切った空気の中で1時間をすごした後に、朝礼で「今日も頑張ろう」と言われたところで苦笑いを浮かべるほかないのが関の山でしょう。そして、1日の締め括りは再び満員電車で過ごす1時間です。この生活が往復で毎日2時間、完全週休2日制の恵まれた環境の会社であっても通勤に要する時間は1年間で480時間にものぼります。

これは3年か5年も経てば、「超難関」と言われる国家資格合格に必要とされる勉強時間にも匹敵します。満員電車の中で、組体操の練習で崩れた人間ピラミッドの底面でクラスメイトに押しつぶされたことを思い出しながらも、「通勤時間がなければ人生が変わるかもしれない」と考えたことはないでしょうか。

「通勤時間」はほんの一例ですが、会社勤めをしていると、口には出さないまでも(口に出したらお終いなので)、随分と無駄が多いと感じざるを得ません。会議室を押さえ、わざわざ遠方から人を集めて会議。案外その会議も単なる報告会や経営者の独壇場だったりすることが多く、何時間もかけてやってきたのに発言すらせずに帰る社員も少なくありません。

決裁を得るのに、特に見られもしない稟議書に「ハンコ」は必要分コレクションしなければ何もできない…そんな光景は良くあること。もし決裁権のある人が出張中なら、帰りを待たなくてはならず、それが原因でビジネスが停滞したり、案件を競合にさらわれる事態も起こりかねません。

通信手段の乏しかった時代ならともかく、現在は、会議はタブレット端末があればスカイプで会場など押さえなくても実施できますし、書類のやりとりなら、電子化してしまえばクラウド上でさっさと済ませることもできます。会議や研修で一堂に会すること、対面による血の通ったやりとりなど、これまでのやり方を一概に否定するわけではありませんし、効率一辺倒の考え方が100%正しいというわけではありませんが、企業活動の多くは「ムダ」に溢れていることは間違いありません。

ITは業務効率化につながる様々なソリューションをもたらしてくれましたが、案外IT企業でも旧態依然とした体質を変えられず、大量の「ムダ」を垂れ流しているのが現状なのです。

このように会社勤めであるがために費やさなければならなかった「通勤時間」、「待ち時間」、さらに神経をする減らす権謀術数が張り巡らされた社内の人間関係など、積み重なれば膨大で心身ともに異常を来しかねない「ムダ」な時間は、在宅ワークのフリーランスになった瞬間に「ゼロ」にすることができます。

すなわち、「ン時間」もの長い時間が、すべて自分のために使えるようになるのです。

フリーランスが「自宅兼事務所」を開設する際に注意するべきこと

フリーランスになると、会社勤めの時代に甘んじて受け入れてきた「ムダ」な時間から解放され、24時間365日すべてが自分のために使える時間です。もちろん、リスクも責任も以前とは比べ物にならないほど大きなものになりますが、今まで欲しくても取れなかった時間が手に入ったわけですから、「仕事」、「勉強」、「娯楽」など、有意義に使うようにしましょう。

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そして、これから公私ともに拠点となるのは自宅です。周囲に注意してくれる人はおらず、真面目にやろうとだらけようとすべては「自分の責任」です。また、長い通勤時間から解放されたとはいえ、「瞬間移動」が可能な職場というのも、案外気持ちの切り替えが難しいものです。

 

在宅ワークの手軽さは魅力ですが、プライベートとの線引きが曖昧になって却って仕事がうまくいかなくなるというのも良くある話です。自宅の中でも仕事部屋とプライベート部屋を分ける、仕事中は仕事着に着替えるなど自分なりの「切り替えスイッチ」を構築することをおススメします。

また、自宅権事務所のオフィスとしての機能は、何百万円もするオフィス仕様の複合機を揃えなくても、数万円で電話、ファクス、プリンター、スキャナーとフル装備の製品が入手可能です。書類は、できる限り電子化して省スペース化を確保するなど自身が最大限のパフォーマンスを発揮できるオフィスを作りましょう。

しかし、最大の注意点がひとつあります。もし賃貸住宅に住んでいる場合、そこを自宅兼事務所として使用すれば、事務所として使用している部分を事務所経費として計上することが可能というのが一般的な味方ですが、多くの賃貸住宅の場合、「住居専用」として賃貸借契約を結んでいるため、「事務所」として利用できないこともあるのです。

それは、住居とし貸す場合と事務所として貸し出す場合は、管理会社や大家さんが支払う税金額が変わってくるからです。事務所として貸す方が税金が高額になるので、その物件は保証金が必要であったり、賃料が高めに設定されていることがほとんどです。

もし無断で自宅兼事務所にしてしまった場合、「契約違反」として退去を迫られる恐れもありますので、事前に確認、「住居専用」として契約を結んでいた場合は、管理会社や大家さんに相談しましょう。「知らなかった」がためにフリーランスの第一歩が挫けることのないよう十分に注意してください。

在宅ワークを成功させるために

フリーランスとなり、在宅ワークという環境を手に入れたとき、「会社」という煩わしさから解放され、あなたは自由を手にします。しかし、それによって「引きこもり状態」になってしまっては、フリーランスとしての成功はおろか、生活の糧さえも失ってしまいます。

自分の腕で作り出されるものが商品であるからこそ、自分を知ってもらう、信頼を勝ち取るためにも、会社勤めの時代以上に「人間関係」は大事にしなければなりません。クライアントの話を聞く、相談に乗る、素早く対応する、報告・連絡・相談をこまめに行う、そしてときには直接出向いて対面で話をしにいくなど、「この人のお願いしたい」と言われるような関係を作るよう心がけましょう。

「在宅ワーク」と言いながら、フリーランスは、映画で言えば監督・脚本・演出・主演、すべてオレの何でも屋状態ですから、案外自宅兼事務所を空けることも多くなるかも知れません。しかし、会社勤めの時代のように通勤ラッシュの満員電車に乗ることもなければ、上司におうかがいを立てるための「待ち時間」もありません。あくまで自分自身の仕事のための外出ですので、きっと移動中もモバイル端末などを使って準備をするでしょうし、頭の中で十分に「汗をかいた」血の通った提案を考え付くはずです。

フリーランスになったら、基本的には誰も注意してくれませんし、求めない限りは親身なアドバイスをしてくれる人もいなくなります。そして自宅兼事務所は何をどうしようとあなたの勝手ですから、すべてはあなたの匙(さじ)加減でどうにでもなってしまいます。

残念ながらフリーランスになったときの崇高な理想は崩れ去り、自堕落な生活に陥ってしまう人もいる中で、成功を手にするためには、一にも二にも自分自身を律する自己管理能力です。まずは自分自身に勝てる人が、在宅ワークでも成功を手にできるのです。

 

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最後に確認して欲しいポイント

日本経済が飛ぶ鳥を落とす勢いだった時代、「日本式経営」は世界のお手本のように見なされた時期がありました。しかし、今となっては、世界の企業がこぞって取り入れようとするのは「カイゼン」に代表されるトヨタ自動車の生産方式くらいしか聞くことはありません。

それは、日本式経営をお手本にしようとした企業が、「長時間労働」、「ムダな時間の多さ」に気付き、日本の商習慣に馴染めず匙(さじ)を投げてしまったのです。現に、平均賃金が日本とほぼ同じとされているフランスの平均労働時間は日本の3分の2。言い換えれば、日本人はフランス人の1.5倍の時間働いてようやく同程度の給料を稼いでいるということになります。フランスは、先進国にしては珍しい出生率の高い国として知られていますが、逆の見方をすれば、日本の出生率の低さは、「働く時間が長すぎる=労働生産性が低すぎる」ことに要因を見出すことができるのではないでしょうか。

それはともかく、ITがいなかる進化を遂げようとも、会社が本気にならなければ「ムダ」がなくなることはありません。もしかすると経営陣は、社員の「通勤時間」や「待ち時間」を「ムダ」だと思っていないかも知れません。となると会社勤めをしている限りは、「ムダ」な時間から解放されることはあり得ないのです。

もちろん、税や社会保障などの「会社がやってくれていた面倒なこと」も自分に跳ね返ってくるわけですが、「通勤時間」や「待ち時間」と比べれば物の数ではありません。自らの腕で稼ぐ実力のある人、そうなる気概のある人は、「ムダ」な時間によって才能を浪費させることのないよう、フリーランスとなることも選択肢のひとつです。

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