フリーランスを長く続けるための秘訣を単価相場から考える

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相場価格

壱万円札の肖像で馴染みの深い福沢諭吉は、最高額紙幣に採用されていることから、余程の偉人に違いないことは誰しもが感じているところですが、慶應義塾の創設者であり、近代日本の成立に多大なる功績を遺した啓蒙家・思想家でもあります。

慶應義塾が明治33年に制定した「修身要領」において

心身の独立を全うし自ら其身を尊重して人たるの品位を辱めざるもの、之を独立自尊の人と言ふ。
自ら労して自ら食ふは人生独立の本源なり。独立自尊の人は自労自活の人たらざる可らず。

と記されているように、「独立自尊」は、言うまでもなく諭吉が説いた教えのひとつであり、連綿と受け継がれている慶應義塾の建学の精神であると言えます。

諭吉が遺した文書内で事あるごとに言及されている「独立自尊」の精神は、欧米列強の野望がひしめく世界に突如として放り込まれた日本がいち早く近代国家として成長し、生き抜くための強い願いの現れでした。

そして、1世紀の時を経て、ITが大きな役割を果たしたグローバル化の波は、今再び日本を呑み込もうとしています。日本にとって「第二の開国」とも言うべき現代に求められるのは、諭吉の説いた「独立自尊」の精神ではないでしょうか。

いささかスケールの大きな話になってしまいましたが、フリーランスは、動機は十人十色ながらも、自らの足で立ち道を切り開こうとする「独立自尊」の精神の実践者そのものなのです。

しかしながら、世界中から集まった猛者が群雄割拠するITの世界を生き抜くために不可欠な「独立自尊」の精神を持ったフリーランスエンジニアにとって、残念ながら、彼らが力を発揮する環境が整っているとは言えないのが現状です。

厳しいビジネスの世界~フリーランスの弱みにつけこむ人たちもいる

現状、日本の商習慣では、ビジネスは企業間取引が基本です。フリーランスエンジニアなどの個人事業主は、社会的信用度が企業と比べて圧倒的に劣るため、取引すらさせてもらえない場合も少なくありません。ある程度、ビジネスが軌道に乗ると法人化を目指すのはこの「社会的信用」を得ることが大きな目的のひとつです。

しかしながら、近年はフリーランスエンジニアを積極的に活用する企業も増えてきました。

その理由のひとつは、企業間取引よりもフリーランスに頼んだほうが、費用の総額を抑えられることです。費用を極力抑えたい企業側と、仕事が欲しいフリーランスにとっては、総額は抑えられても会社員時代と比べて「上納金」がない分、手元には多くの収入が得られるため、双方の思惑が一致して取引が成立しているのです。

二つ目の理由は、業界全体が慢性的なエンジニア不足に陥っているため、「人手」としてエンジニアが欲しいという事情があります。自前で育てたり、他社から調達するよりは、フリーランスをあてがったほうが結局は安くつくのです。

そして三つ目は、企業からすれば、フリーランスということもあってフットワークが軽いこと、そして会社と個人事業主という圧倒的な立場の差を利用して金額交渉や要件定義を含め取引の主導権を握って意のままに動かしたいという思惑が働いていることが挙げられます。

交渉事においては、それが個人だろうと企業だろうと自社に有利な条件を取り付けるのが鉄則です。従って、仕事が「喉から手が出るほど欲しい」フリーランスを相手にするならば、その弱みにつけこんで単価を引き下げるなどの条件を呑ませるなど、当たり前のように仕掛けてきます。

もちろんビジネスですから、企業側は当たり前のことをしているだけです。しかし、企業と個人事業主という圧倒的な力関係の差、そして交渉術に長けた相手に完全に呑まれてしまっては結果的に自分の首を絞めることになってしまいます。弱みには容赦なくつけこむ…ビジネスは厳しい戦いの場なのです。

 

単価の相場を知り、決して安請け合いはしないこと

企業との交渉の場で不利を被ってしまうのは、「仕事欲しさ」が表に出てしまい、つけこむ隙を与えてしまったり、会社勤めの時代と同じように自身の仕事の「相場感」を把握していないエンジニアの側にも原因があります。

相場感を知らなければ、高評価なのか、それとも足元を見られているのかなど交渉相手の提示する金額の意味を推し量ることができず、主導権を握られてしまうのです。相場感を知らずして交渉に臨むのは武器を持たずして戦に臨むのと同じこと、ただでさえ力量差のある相手に対して好条件を勝ち取ることはできません。

バブル崩壊以降、日本経済をじわじわと蝕むデフレスパイラルの時代にあって、その場しのぎのために「薄利多売」に舵を切った企業は軒並み姿を消すか依然として苦しい経営を強いられています。

ましてや、個の力で勝負するフリーランスが「薄利多売」に走れば、終わりなき消耗戦に陥ることは火を見るより明らかです。

仕事が欲しいからと言って自身を安売りしないためにも、相場感をきちんと把握し、いかなる交渉にあっても絶対に譲れない線引きを設ける必要があるのです。

ここで、クラウドソーシングにおける仕事の相場を見てみましょう。クラウドソーシングは、一般的に単価が低く設定されているので、これが最低ラインであると考えてください。

参照サイト:自分の価値は自分で決める!フリーランス単価相場と単価アップ交渉の秘訣

 

エンジニア職

・ソフト系開発:時給2,000~4,000円
・スマホアプリ開発:時給2,000~5,000円
・プロジェクトマネージャー(常駐):時給3,000~6,000円

デザイナー職

・バナー作成:5,000円~
・ロゴ作成:10,000円~
・WEBデザイン:デザインのみ50,000円~、コーディング含む100,000円~
・チラシデザイン:2万円~

ライター職

・WEBライティング:1文字0.5円~
・雑誌ライター:1契約5,000円~
・取材ありライティング:一契約10,000円~

当然のことですが、フリーランスの収入は、ここから税金や社会保障費、経費などが引かれることになりますから、会社員時代の「手取り給与」に相当する可処分所得にあたるのは全て差し引かれた残額ということになります。安請け合いをして生活に支障が出るようなことは絶対にないようにしてください。

最後に確認して欲しいポイント

フリーランスエンジニアが、まずやらなければならないことは、安定的に案件を獲得し、かつ継続して収入を得られる仕組みをいち早く構築することです。いくら腕に覚えがあったとしても、独立前から業界で名の知れていたような人以外はいきなり、バンバン仕事が入るわけではないからです。

独立前からの人脈が役に立てられれば良いのですが、会社員時代に「人脈」だと思っていたものがいざ会社の看板が取れた瞬間に相手にされなくなるケースも少なくないので、まずはゼロベースで安定収入が得られる、すなわち軌道に乗せる努力をしましょう。

この目標がおおむね達成でき、金銭的にも精神的にも余裕ができたときに、いよいよ、これまで磨いてきた腕を生かす、本当の意味でのフリーランス人生が始まるのです。

しかしながら、そこまで辿り着くことなく安い案件の仕事に振り回されるフリーランスエンジニアがいることも事実です。その多くは、最初の「条件闘争」で安請け合いをしてしまい、いつまで経っても安定収入が確保できていないケースがほとんどです。

この場合、フリーランスになって却って忙しくなったにも拘わらず、収入が減るという例も少なくありませんのでくれぐれも注意が必要です。

フリーランスになって、「何でオレはこんなに大変な思いをしているのだろう」という思いが過ったら、フリーランスになるときに志した「独立自尊」の精神の原点に立ち返ってみてください。

自らの足で立ち、歩んでいくために、自分はどうあるべきなのか、そのために今何をしなければならないかを考えてください。そうすることで自ずと進むべき道が見えてくるはずです。

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