フリーランスITエンジニアの「月額契約単価」を「給与」と真剣に比較する

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ITエンジニア 契約単価

社会人になって初めての給与(初任給)が振り込まれたとき、喜びと共に「自分の力でお金を稼ぐことって大変なんだ」と感じた人は多いと思います。

入社当初は給与額が絶対的に低い上に、揃えなくてはならないものも多く、生活するだけでいっぱいいっぱいである場合がほとんどです。

しかし、年月を経るにつれ新入社員の頃よりも暮らしぶりが良くなってくると、自分の給与額のおおよその見当がつくようになり、その金額をベースに月々の生活設計を行っていくようになります。

毎月決まった月に振り込まれる給与、そして給与明細にそう注意を払うことはないと思いますが、少なくとも自身の給与額に満足している人は限りなくゼロに近いのではないでしょうか。

良く聞かれるのが、「オレの会社への貢献の割には給料が少ない」、「働いても働いても給料が上がっていかない」という嘆きの声。

この声を自己研鑽へのエネルギーに転嫁できる人ならば、転職しても、フリーランスになっても恐らく成功を収めることができるでしょう。

しかし、この嘆きが会社への不平不満となり不信感を募らせているようなら、「自分自身の会社への貢献度」が果たしてどのくらいなのか、また、どのくらい貢献して評価を勝ち取ることができるのかを考える必要があるのではないでしょうか。

 「給料の3倍働け!」は正論なのか?

上司やベテランの先輩から、「給料の3倍稼いで一人前」という言葉を聞いたことがあると思います。

給料の3倍稼ぐというのは結構大変なことですし、こんなに稼いでいるのに3分の1しか給料にならないのかという嘆きの声が聞こえてくるようです。

しかしながら、粗利益から賃料や営業活動費等の経費を支払い、給与や賞与に法廷福利費や福利厚生費、通勤手当などにかかる費用を捻出するにはちょっとやそっと設けただけでは到底足りません。

それこそ「給料の3倍」稼いでちょうどペイするかもしくは若干の経常利益を上げることができるのです。

一見すると、自分の手元に入らない給与の3倍ものお金のためにあくせく働くのは何だか空しい気もしますが、それと引き換えに会社は社員を守り、空調の効いたオフィスや備品を供給し、リタイヤの際には餞別代りに退職金を支給するのです。

会社経営は思っている以上にお金が必要で、人を一人雇用するのにも給与以外にも直接、間接を問わず思いのほか多くの費用がかかっているのです。

収益性の高い企業は、例外なく高い粗利率を叩きだしていますが、その特徴として参入障壁の高い高単価な商品を収益の柱としていることが挙げられます。

「そこでしか手に入らない」高単価な商品を扱うことにより、「給料の3倍」を容易にクリアでき、さらなる粗利益は社員に還元されたり先行投資に充当されます。

一方、近年のデフレ傾向によって増えつつある「薄利多売」の商売は、「給料の3倍」をクリアするのに莫大な労力を必要とします。

たとえ無理をして「売上の3倍」の壁を突破したとしても、どこかにしわ寄せがくることは間違いありません。

このことからも会社は利益を出してナンボ、そしてそれは「給料の3倍」はひとつの目安となるのです。

しかし、パレートの法則が物語るように、いかなる組織でもその屋台骨を支えているのは約2割の有能な人間です。

したがって、一部のエース級の社員が「給料の3倍」をクリアできない8割の社員をカバーしていると言っても過言ではありません。

ITエンジニアなら、一人のエース級の社員が10人力、100人力の仕事をしていることも珍しくはありません。

このレベルになると、会社への「上納金」の多さに疑問を感じてフリーランスを目指すITエンジニアも現れ始めるのです。

ITエンジニアの人月単価とコストについて考える

客先に常駐して仕事を行うITエンジニアの場合、派遣先の企業から人月単価という形で代金が支払われます。

ある大手システム開発会社が設定している人月単価は下記のとおりです。

システムエンジニア(SE):800,000円
ネットワーク技術者:800,000円
システム運用管理者:700,000円
プログラマー(PG):600,000円
ヘルプデスク:480,000円
オペレーター:450,000円
Web監視担当者:650,000円

これが、中小のシステム開発会社だと足元を見られるせいか、かなり金額が抑えられます。

システムエンジニア(SE):600,000円
中堅プログラマー(PG):500,000円
若手プログラマー(PG):400,000円
ヘルプデスク:350,000円
オペレーター:350,000円

もちろん案件の規模や業務内容によっても金額は異なりますし、残業時間は加われば多少の上積みはありますが、上記の数字は大手企業と中小企業に派遣されたITエンジニアの人月単価の目安として考えてください。

数字だけ見るとこの金額は決して安いとは思えませんが、システムエンジニアひとつ取っても、単純に人月単価の3分の1が給与だとすると大手で約27万円、中小で20万円これでは生活もままなりません。

一方、社会保険の会社負担分も含めて約40万円を給与に充てると、会社の取り分は前者が40万円、後者が20万円。「給料の3倍」説に照らし合わせれば、昇給や先行投資を行うほどの原資を確保するのは難しいと言わざるを得ません。

会社がうまく回る程度の粗利益を挙げれば手取り給与が少なすぎますし、多少給与はもらえてもそれが会社の経営を圧迫してしまっては、それは束の間の喜びに過ぎません。人月単価ひとつをとっても悩ましい問題が山積しているのが現状なのです。

それなら「フリーランス」という発想も理解できる

このように会社員として客先に常駐するITエンジニアの人月単価は、少なくとも4割以上は会社への「上納金」となります。

単純に「給料の3倍」働いたとすれば7割近くが客先から支払われる金額から会社に引かれる計算になります。

会社員として会社の維持発展、ひいては自身の生活のためにも多くのITエンジニアはこの事実を受け入れて日夜働いているのです。

これがフリーランスになると、会社(=個人事業)にかかる経費などたかが知れていますし、引かれるとすれば仕事を紹介してくれたエージェントへの手数料として5%から多くとも20%程度の金額です。

残りは、ITエンジニアの取り分となります。同じ仕事をしているのに、こうも取り分に差があれば、腕に自信のあるITエンジニアが独立起業に気持ちが傾くのも無理はありません。

会社への「上納金」がひいては、自分や家族を含めた生活の安定につながっていることは否定しませんが、フリーになって稼いだ差額でも十分に安定した生活が送れるのなら会社にしがみつく理由はありません。

会社員なら会社員の、フリーランスならフリーランスなりのメリット、デメリットがありますが、客先常駐である程度経験を積んだエンジニアならば誰しもが通る「究極の選択」の場面ではないでしょうか。

最後に確認してほしいポイント

ここまでITエンジニアの月額契約単価に関して述べてきましたが、人月単価や自身の取り分の金額等を通じて、会社の現状や、会社を取り巻く経営環境を垣間見ることができます。

客先常駐のITエンジニアは、人月単価が定められているので、自身は相応がそれを上回る働きができているのかを常に考えながら自身の市場価値を測っていく必要があります。

自身の価値が人月単価を上回ったと判断したならば、フリーランスも視野に入ってくると思います。いざフリーランスを志したときに、既に腕一本で食べていけるほどの力をつけていることが理想です。

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